麻疹感受性者(過去に麻疹に罹患していない,あるいは麻疹ワクチンの接種を受けていない人)が麻疹患者と接触した場合には,48-72時間以内にガンマグロブリンの筋注を行う場合があります.ガンマグロブリン製剤には各種病原体に対する抗体である免疫グロブリンG(IgG)が含まれています.麻疹患者と接触した場合に,体内で麻疹ウイルスが増殖する前にガンマグロブリンを投与すると麻疹の発病を防ぐことができます.医学医療が発達した現在でも麻疹は感染力が強く死亡率が高い疾患のため,このような緊急予防措置が必要になります.

川崎病の治療にガンマグロブリン大量療法を行う場合があります.川崎病が中等症から重症な場合には後遺症として冠動脈瘤が生じることあります.高熱が続き炎症反応が強い場合には,こうした治療が必要になります.

ガンマグロブリンの投与を受けた場合には,その後の予防接種に注意が必要です.

麻疹,風疹,水痘.おたふくかぜワクチンは生ワクチンのため,ガンマグロブリン製剤に含まれる抗体のため免疫の成立が妨げられる可能性があります.これらのワクチンについては原則としてガンマグロブリン投与直後の接種は避けるべきです.麻疹ワクチンについては「ガンマグロブリン注射を受けた者は3カ月(大量療法の場合には6カ月)接種を延期する」と予防接種ガイドラインに明記されています.風疹,水痘,おたふくかぜワクチンについては明記されていませんが,麻疹ワクチンに準じるべきです.

3種混合(DPT),2種混合(DT),日本脳炎,インフルエンザワクチンは不活化ワクチンのため,ガンマグロブリンの影響を受けません.

ポリオワクチンは生ワクチンですが,ワクチン株が腸管内増殖をするのでガンマグロブリン投与の直後でも免疫の成立に影響を受けません.