通年性アレルギー性鼻炎は,くしゃみ,鼻みず,鼻づまりなどの症状が季節を問わずに出現する疾患です.集中力や思考力の低下により,勉強,仕事,家事,読書などに支障を来し,日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼします.主な原因(アレルゲン)は,ダニ,真菌(カビ),昆虫,ペットの毛などです.鼻の症状だけでなく,目のかゆみや涙目を伴うこともあります.日本人の4人に1人が,通年性アレルギー性鼻炎です.

通年性アレルギー性鼻炎は,問診,皮膚テスト,血清抗体検査,鼻汁好酸球検査などの結果から総合的に診断します.

通年性アレルギー性鼻炎の治療では,まずアレルゲンの除去および回避を行います.最も重要なアレルゲンであるダニは暖かく湿気のある布団,絨毯,畳などを好みます.押入れ,家具の裏側,カーテン,ぬいぐるみなどにも注意が必要です.薬物療法では,第2世代抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬の内服,ステロイド点鼻液,抗ヒスタミン点眼液などが用いられます.これらの薬剤を使用すると症状は軽減しますが,通年性アレルギー性鼻炎が治るわけではありません.

アレルゲン免疫療法は,アレルゲンを少量から投与することで,からだをアレルゲンに慣らしていく治療法です.アレルゲン免疫療法には,皮下免疫療法と舌下免疫療法があります.皮下免疫療法は皮下に注射する治療法で,医療機関で行われます.注射であるため痛みを伴い,長期間の通院が必要になります.一方,舌下免疫療法は舌下に治療薬を投与するため,痛みがなく,自宅で服用できます.日本では,スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が保険適応になっています.

現在,日本では,ダニアレルギーのアレルゲン免疫療法薬として,鳥居薬品株式会社より「ミティキュアダニ舌下錠」が,シオノギ製薬より「アシテアダニ舌下錠」が発売されています.12歳以上の患者さんが治療を受けることができます.ミティキュアは,1週目は3300JAU,2週目以降は10000JAUを,1日1回1錠を,舌下で1分間保持した後に飲み込みます.アシテアは,1日目は100IRを1錠,2日目は100IRを2錠,3日目以降は300IRを1錠,舌下に入れ完全になくなるまで保持した後に飲み込みます.その後5分間はうがい,飲食を控えます.服用する前後2時間程度は,激しい運動,アルコール摂取,入浴などは避けるようにしてください.初めての服用は医療機関で医師の監督のもとで行い,2日目からは自宅で服用します.少なくとも1カ月に1度は受診してください.推奨治療期間は3年以上です.効果を発現するメカニズムは十分には解明されていませんが,舌の下から入った少量のダニアレルゲンがアレルギー反応を抑制する免疫反応を起こすと考えられています.

ミティキュアまたはアシテアを用いて長期にわたり正しく治療をすれば,くしゃみ,鼻みず,鼻づまり,涙目,目のかゆみなどの症状が抑制され,生活の質が改善します.完全に抑えられない場合でも,症状が軽快し,アレルギー治療薬の減量が期待できます.

ミティキュア,アシテアの主な副作用は,口の中の浮腫,かゆみ,不快感,異常感,のどの刺激感,不快感,耳のかゆみなどです.重大な副作用として,ショックやアナフィラキシーが起こる可能性があります.

ミティキュア,アシテアについては「本剤は,緊急時に十分に対応できる医療機関に所属し,本剤に関する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち,本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師のもとで処方・使用すること.薬剤師においては,調剤前に当該医師を確認した上で調剤すること.」と警告されています.このため,処方は事前に関連学会が主催する「舌下免疫療法の講習会」を受講修了し,続いて「適正使用eラーニング」を受講修了した後,「適正使用eテスト」に合格することで「受講修了医師」として登録される必要があります.当院は前述した諸手続きを完了しています.

ダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎を治したい!と思う12歳以上の方は是非当院にご相談ください.成人を含め,ミティキュアまたはアシテアを処方します.