2017年6月,当院ではウェルチ・アレンの「スポットビジョンスクリーナー」を導入しました.

赤ちゃんは,生まれた直後には大人と同じようにはっきりと物が見えているわけではありません.成長とともに,視力や両眼視という2つの「見る機能」が発達して行きます.

生まれたばかりは視線も定まらず,ぼんやりと見えているだけです.見続けているうちに,だんだんと見えるようになり,誰であるかが分かり,笑っているなどの表情まで判別できるようになります.このようにして,視力が発達していきます.

生後2か月頃から目の位置が安定し,両眼視ができるようになります.ピントを合わせて物を見る,近くの物を見る時に 目を内側に寄せる,動く物をスムーズに追いかける,などの目の動きが発達してきます.これにより左右の目を同時に使う機能が働き,遠近感や立体感が分かるようになります.

視覚は,生後3-6カ月頃に急激に発達し,その後8歳くらいまで緩やかに発達していきます.視覚の発達する時期(=視覚感受性期)は限られています.成長する過程で何らかの問題が生じ正常に発達できないと,見る機能に影響を及ぼすことがあります.問題を残したまま視覚感受性期を過ぎてしまうと,治療を始めても手遅れになってしまいます.

スポットビジョンスクリーナーは,生後6カ月以上の乳児から大人までの視機能上の問題を検知する医療機器です.僅か1秒の測定時間で,両眼を同時に検査できます.点眼などの前処置は不要です.測定原理は,フォトレフラクション法です.カメラ光軸上および光軸外の合計23個の赤外線光源より発した光の,瞳孔からの反射を計測します.

スポットビジョンスクリーナーは97%の成功率で,以下をスクリーニングできます.
(1)近視:焦点が網膜の手前にある状態で,遠くを見るとぼやけますが,近くはよく見えます.
(2)遠視:焦点が網膜の後ろにある状態で,遠くのものも,近くのものもはっきりと見ることができません.
(3)乱視:焦点が2カ所以上に分かれている状態で,像がぼやけます.主な原因は角膜や水晶体の歪みです.
(4)斜視:物を見ようとする時に,片目は正面を向いていても,もう片目が違う方向を向いてしまっている状態です.片目が正常な位置になる時にもう片目が内側を向いてしまう内斜視,外側を向いてしまう外斜視,常に斜視が存在する恒常性斜視,時々斜視の状態になる間歇性斜視があります.
(5)不同視:左右の視力に著しい差があると,視力の良い眼で物を見ようとして,もう片方の眼を使わなくなります.
(6)瞳孔不同:左右の瞳孔の大きさが違う状態です.脳腫瘍,脳内膿瘍,髄膜炎,頭蓋内出血,動脈瘤などが原因になります.

視覚感受性期に上記のような理由で,物が見えない,見えにくい状態が長く続くと脳へ刺激が伝わらず,視力の発達が止まってしまいます.これを弱視と呼び,以下の種類があります.
(1)斜視弱視:斜視のために視力が発達せずに,弱視になるものです.
(2)不同視弱視:片方の眼が強い遠視や乱視のため,弱視になるものです.日常生活で不便さを感じないため,気づかないことがよくあります.
(3)屈折異常弱視:両眼が強い遠視や乱視のために,弱視になるものです.
(4)視性刺激遮断弱視:光が遮られ,視力の発達が止まってしまう弱視です.原因としては,眼瞼下垂,先天性白内障などがあります.

当院では,スポットビジョンスクリーナーを用いて,乳児健診のお子さんを対象に目の検査をしています.是非,ご利用ください.