2016/17シーズンのインフルエンザの流行は,世界的にA/H3(香港型)が主流でした.B型も流行し,ビクトリア系統と山形系統の混合流行でした.A/H1pdm09(2009年に世界的流行を起こしたいわゆる新型)は僅かでした.日本国内における分離株は,A/H3が85%,B/ビクトリアが7%,B/山形が5%,A/H1pdm09が3%で,同様の流行でした.

WHOは,2017/18シーズン北半球用インフルエンザワクチンの製造株について以下を推奨しました.最近の流行株の抗原性を考慮し,前シーズンからA/H1pdm09のみが変更になりました.
A/ミシガン/45/2015pdm09類似株(H1N1)
A/香港/4801/2014類似株(H3N2)
B/ブリスベン/60/2008類似株(ビクトリア系統)
B/プーケット/3073/2013類似株(山形系統)

これを受けて,2017年5月2日に,国内インフルエンザワクチン株として以下が選定されました.
A/シンガポール/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
A/埼玉/103/2014(CEXP002)(H3N2)
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
いずれもWHOの推奨株または類似株でした.なお,WHO推奨株であるA/香港/4801/2014の鶏卵分離株やその高増殖株は鶏卵馴化による抗原変異の影響を強く受けていることから,WHOの推奨株の1つとして認定されているA/埼玉/103/2014(CEXP002)が選定されました.

ところが,選定された上記4株のうちA/埼玉/103/2014(CEXP002)(H3N2)の増殖が不良で,実際の蛋白収量が前シーズンの製造株であるA/香港/4801/2014(X-263)と比較して約33%と大幅に低下し,最大限の生産を行ってもインフルエンザワクチンの総生産量が前シーズンの約71%にとどまることが明らかになりました.このような生産量になった場合,希望してもインフルエンザワクチンの接種を受けることができない事例が相当数発生し,社会的に極めて大きな混乱が生じる可能性が高いと考えられます.このため,2017年7月12日,厚生労働省は前シーズンのワクチン株であるA/香港/4801/2014(X-263)を使用する旨通知しました.

2017/18シーズンの国内インフルエンザワクチン株として,最終的に以下を使用することになりました.
A/シンガポール/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
A/香港/4801/2014(X-263)(CEXP002)(H3N2)
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)
B/プーケット/3073/2013 (山形系統)

2016/17シーズンのインフルエンザワクチンの製造量は2784万本,使用量は2642万本でした.2017年7月の時点で,2017/18シーズンの製造量は2528万本になる見込みです.昨年よりも若干ですが製造量が減るようです.また,製造株が途中で変更になったために,ワクチンの納入が例年よりもやや遅くなるようです.

当院では,例年,9月中旬よりインフルエンザワクチンの予約受付を,10月初旬より接種を開始しています.今シーズンは例年よりも遅い開始になる模様です.薬品卸会社からワクチン納入日,納入本数が知らされてから予約受付を開始します.

インフルエンザは高熱が続き,関節炎,肺炎,中耳炎など多くの合併症を引き起こします.ときに,脳炎脳症が起こり,死亡することがある病気です.10-11月にはインフルエンザワクチンの接種を必ず受けてください.