一般的には,インフルエンザは11月下旬頃に患者が発生し,12月に入ると流行が始まり,1-2月に流行のピークを迎え,その後春に向けて流行が終息して行きます.流行するウイルスの種類,流行の規模,流行の時期はシーズン毎に異なり,正確に予測することは困難です.

日本では,近年,A/H1N1pdm09(2009年に世界的流行を起こした「いわゆる新型」)とA/H3N2(A香港型)が1年おきに交代して流行しています.2016/17シーズンはA/H3N2が流行の主体だったので,2017/18シーズンはA/H1N1pdm09が流行するはずです.しかし,香港では既にA/H3N2が流行し,582人が重症になり,430人が死亡しています.また,オーストラリアではA/H3N2とB型が混合流行して例年の2.5倍のインフルエンザ患者が発生し,流行の主体はA/H3N2でした.2016/17シーズンには日本ではA/H3N2が流行し多くの人が免疫を持っていることから,2017/18シーズンはA/H3N2が大きな流行を引き起こす可能性は低いと考えられます.総合的に判断すると,2017/18シーズンは,A/H1N1pdm09,A/H3N2,B型が混合流行すると推測されています.

トリインフルエンザウイルスのヒトへの感染拡大が懸念されています.トリインフルエンザウイルスには,いくつかの種類があります.

高病原性トリインフルエンザA/H5N1の世界的流行が最も懸念されてきましたが,ヒトでの患者数は減少しています.2014年にエジプトで流行しましたが,その後終息しつつあります.エジプトでは政情不安のために流行を効果的に抑制できなかったようです.死亡率は58.1%(454/860)と依然高率で油断してはいけません.厳重な警戒は今後も必要です.

世界的には,トリインフルエンザA/H7H9のヒトでの患者数が増加しています.現在はA/H5N1よりも,A/H9N7の方が患者数は多くなっています.2017年のWHOの集計では,1564人の患者発生があり,612人が死亡し,死亡率は39%でした.一見高い死亡率にみえますが,A/H7N9には軽症患者がもともと数万人存在し,死亡率は実際にはA/H1N1pdm09程度と考えられています.39%の死亡率は確定診断された患者での死亡率です.ヒトではA/H7H9は低病原性です.A/H7H9はトリでも弱毒ですが,トリートリ間では感染力が強く空気感染をしてします.後進国や中進国では十分な冷蔵設備がないために,トリは市場で生きたまま取引されています.仕事を辞めた60歳以上の男性がトリを買って解体し食肉にすることが多いため,この年齢層の男性患者の発生が数多く報告されていました.しかし,最近では裏庭で飼っているトリからの感染機会が増え,若い女性患者が増加しています.最近,トリから高病原性のA/H7H9ウイルスが検出され,ヒトでも抗インフルエンザ薬が無効または効果が低い高病原性のウイルスが検出されています.

日本以外では,ニワトリに対してトリインフルエンザワクチンが接種されています.この結果,トリートリ間での感染が被覆されるとともに,トリインフルエンザウイルスのヒトへの感染が減少しています.一方,日本ではニワトリに対するワクチン接種は実施されておらず,トリインフルエンザが発生した場合にはその農場のトリを全て殺処分しています.日本で行われているような殺処分は,他の国では経済的な問題が生じるために実施できません.トリインフルエンザへの対応は国によって異なります.

当院では,10月下旬に既にA型インフルエンザの患者発生を確認しています.今シーズンは流行開始が例年よりも早いかもしれません.インフルエンザワクチンの接種は早めに済ませてください.