アトピー性皮膚炎では,スキンケアが大切です.スキンケアを十分に行うと,保湿剤やステロイド外用薬,プロトピック軟膏などの効果が高まり,皮膚症状が安定します.スキンケアの第一歩は皮膚の洗浄です.皮膚を洗って汗や皮脂,汚れを取り除きます.同時に皮膚表面に常在しているブドウ球菌などの細菌を洗い流し,皮膚を清潔に保ちます.

皮膚の洗い方のポイントは,(1)泡をよく立てて洗う,(2)皮膚のしわを伸ばして洗う,(3)手で洗う,(4)よくすすぐ,です.

(1)泡をよく立てて洗う

洗面器に石鹸とお湯を入れます.手でぐるぐる回しただけでは,上手に泡が立ちません.ネットを必ず使用してください.きれいな泡が出来上がります.大量に泡を作りたい場合には,ビニール袋を用いると便利です.中くらいのサイズのビニール袋を用意します.ビニール袋を斜めにして角を利用して三角形を作ります.5ccの液体石鹸を入れると,人差し指の1関節分(=2.5cm)の深さになります.さらに15ccのお湯を入れると,人差し指の2関節分(=5cm)の深さになります.液体石鹸とお湯は1:3くらいが目安です.毎回きちんと量るのは大変なので,人差し指を目安にするのと便利です.その後,ビニール袋を口でプーと膨らませます.ビニール袋の入り口をつまんで,手首をよく効かせてブルブルと20-30秒間振ると大量の泡が出来上がります.ビニール袋がパンパンに膨らんだら少し空気を抜いてから再び振ると,大量の泡をすぐに作ることができます.手に取って逆さにしても落ちないくらいのしっかりとしたきめ細かな泡を作ります.料理に使うメレンゲあるいはホイップクリームのような泡がよいでしょう.液体石鹸に対するお湯の量が多過ぎると,固い泡はできません.お湯を少なめにするのがポイントです.ビニール袋はある程度の大きさと厚さが必要です.小さすぎるビニール袋では大量の泡を作れません.薄いビニール袋では激しく振ると破れてしまいます.スーパーのお惣菜を入れる小さなビニール袋を使うのは,やめましょう.泡を作ってから子どもを風呂場に連れて行くと,寒くありません.風呂床にバスマットを敷いてその上に寝かせると,乳幼児は洗いやすいです.泡を作るのが面倒な場合には,泡式ポンプが便利です.ただし,泡式ポンプでは使用する泡が少なめになる傾向があるので,注意が必要です.

(2)皮膚のしわを伸ばして洗う

肘の外側は肘をしっかり曲げて,肘の内側は肘をしっかり伸ばして,洗いましょう.膝の外側,内側も同じです.肘や膝の内側は汗が溜まりやすいので,よく洗いましょう.肘や膝だけでなく,手首や足首などの関節部も洗いにくいので,注意が必要です.手背や指の外側は洗いにくいので,グーにした左手をパーにした右手で包むようにして洗いしましょう.背中を洗う時には,首を前に倒し腰をよく曲げてから洗いましょう.腰のまわりや脚の付け根を洗う時にも腰をしっかり曲げて洗いましょう.パンツのあたる部位もしわを伸ばして洗いましょう.顔を洗う場合には十分に泡立てから洗うのがポイントです.皮膚表面をすぐに流れるような泡では,目や口に入ってしまい,子どもが嫌がります.まず,額,頬,顎を洗います.その後,目の周りを洗いますが,上から下に瞼を閉じるように洗ってください.耳の裏側は汚れが溜まりやすいので,耳介(耳たぶ)を前方にしっかり倒して洗いましょう.耳の付け根は特に丁寧に洗いましょう.

(3)手で洗う

十分量の泡を手に取って,皮膚を洗ってください.目の荒いタオルやスポンジでゴシゴジと皮膚を強く洗うと,皮膚が傷んでしまいます.

(4)よくすすぐ

泡や石鹸カス,皮膚の汚れなどは悪化因子です.洗い終えたら,すぐに十分量のお湯で洗い流してください.うなじ,わきの下,おしり,股などは,すすぎ残しが多くなりがちです.注意しましょう.顔を洗ってすすいだら,すぐに乾いたタオルで顔の水分を取ってあげてください.子どもは顔に泡がついているのが嫌なわけでなく,水がついているのを嫌がります.顔を洗えば自然に目は閉じるので,泡も水も目に入っていくわけではありません.

石鹸を使用して顔やからだを洗うと,汚れとともに皮脂が落ちてしまいます.洗った後はすぐに保湿剤を塗布して,皮膚バリア機能を維持してください.