2018年2月,当院周辺ではインフルエンザが流行しています.現在,A型とB型が同時に流行していて, A型が2割,B型が8割です.1月には,A型が4割,B型が6割だったので,B型の勢いが増しています.インフルエンザの流行状況はシーズンにより異なりますが,一般的にはA型がB型よりも優勢で,A型がB型に先行して流行します.今シーズンの流行状況は,近年にはみられないパターンです.

インフルエンザの主な症状は,5-7日間の高熱,寒気,全身がだるい,食欲がない.頭痛,手足の筋肉痛,腰の痛み.腹痛,吐く,下痢,のどの痛み,鼻みず,咳です.典型的な熱型は2峰性です.3-4日高熱が続いて(1つ目のヤマ),一旦下がり,その後再び発熱して(2つ目のヤマ),やっと熱が治まります.その後,頑固な咳が1週間残ります.普通の風邪よりも症状が強いのが特徴です.

インフルエンザの診断には,迅速診断キットを用います.微熱あるいは高熱でも発熱直後にはウイルス量が少ないため,陽性を示しません.このような場合には,翌日の再検査が必要です.高熱が生じて一晩経過すると陽性を示すことが多いので,受診のタイミングが大切です.インフルエンザ迅速診断キットの使用は,保険診療上,「1エピソードについて発熱後48時間以内に2回まで」「同日の再検査は不可」「最終検査から1週間以内の再検査は不可」となっていて,その使用には制約があります.例えば初日に微熱で受診し迅速診断キットで陰性,翌日に高熱で再検査をして陰性の場合には,翌々日の検査は保険適用外でさらに処方なども全て自己負担になります.保険診療上,混合診療は禁止されています.ご注意ください.

インフルエンザの治療には,タミフル,リレンザ,イナビルなどの抗インフルエンザ薬を用います.タミフル服用後の異常行動による事故が報告され,厚生労働省は10-19歳のインフルエンザ患者に対してタミフル投与を原則として禁止しています.10-19歳では,リレンザ,イナビルを処方します.しかし,「タミフル服用後の事故=タミフルが原因である」というわけではありません.タミフル服用の有無にかかわらず,インフルエンザを含む高熱疾患では,熱せん妄(うわ言,夢中歩行,飛び降りなどの異常行動)が起こることが以前より知られています.インフルエンザと診断された場合には,様子をよく観察し十分に注意してください.リレンザとイナビルは吸入薬で,息止めをする必要があります.通常は5歳以上で且つ上手に吸入できそうな場合に処方します.抗インフルエンザ薬は,発熱後48時間以内に使用しないと効果がありません.症状や周辺状況からインフルエンザが強く疑われる場合には,インフルエンザ迅速診断キットで陰性でも抗インフルエンザ薬を処方することがあります.

インフルエンザの発熱に対する解熱剤は,第1選択がアセトアミノフェン(アンヒバ坐薬,カロナールなど),第2選択がイブプロフェン(ブルフェンなど)です.アスピリン,サリチル酸を含む製剤,ジクロフェナク(ボルタレンなど),メフェナム酸(ポンタールなど)などは,インフルエンザ脳症を引き起こす可能性があるので使用してはいけません.

インフルエンザにかかった場合には,とにかく安静が大切です.無理に厚着をする,こたつにもぐり込む必要はありません.寒くない程度の暖房で十分です.高熱時に温め過ぎると,「うつ熱」になり,かえって体力を消耗します.少し涼しいくらいの方が熱は放散します.高熱時には薄着にして,布団や毛布を1枚減らし,アイスノン等で体を冷やしてください.大きなアイスノンをわきの下,首筋,股にあてると,熱が下がります.頭を冷やすと気持ちはいいですが,熱を下げる効果はそれほどありません.熱さまシートにも,解熱効果はほとんどありません.水分を十分にとるように心がけてください.汗や尿とともに体から熱が逃げていって,熱が下がりやすくなります.経口補水液(OS-1,アクアライトORS)がよいでしょう.番茶やジュースには塩分が含まれておらず,市販のスポーツドリンクは塩分濃度が十分でないため,脱水予防や改善には不適当です.高熱でぐったりしている時以外はお風呂に入って差し支えありません.疲れないように気をつけて,お風呂でサッパリしてください.

インフルエンザの合併症で最も恐ろしいのは,インフルエンザ脳症です.発熱後24-48時間以内に発症し,痙攣,意識障害が起こります.死亡率が10%,後遺症出現率が25%です.インフルエンザ診断時に,脳症を発症するか否かを予見することはできません.抗インフルエンザ薬に,脳症を防ぐ効果は証明されていません.

学校保健安全法により,「発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日(幼児では3日)を経過するまで」は,出席停止です.解熱日が特定できないと,登校許可日を決められません.再診時には,登校許可証とともに,熱型表を必ず持参してください.