鼻症状は「くしゃみ,鼻みず,鼻づまり」とよく表現されますが,このなかで最も辛いのが「鼻づまり」です.

小児は自分から鼻閉を訴えることは少なく,昼間口を開けて息をする,寝ている間ずっと口を開けている,いびき,無呼吸などの症状で気付かれます.

鼻の中を「鼻腔」,その奥を「上咽頭」と呼びます.小児の鼻閉は解剖学的に鼻腔または上咽頭の狭窄が原因の場合に分類されます.鼻腔の狭窄が原因のものとしては,アレルギー性鼻炎,急性鼻炎,急性鼻副鼻腔炎,慢性鼻副鼻腔炎などの炎症性疾患,後鼻孔閉鎖などの奇形,上顎洞性後鼻孔ポリープ,鼻腔腫瘍などの腫瘍,鼻腔内異物が挙げられます.上咽頭の狭窄が原因のものとしては,アデノイドの生理的また炎症性肥大,上咽頭腫瘍などの腫瘍が挙げられます.これらのなかで頻度が高いものは,以下の疾患です.

アレルギー性鼻炎は,くしゃみ,水性鼻漏,鼻閉が3主徴です.鼻すすりや鼻出血もしばしば見られます.鼻閉により,睡眠中のいびきや無呼吸が出現することがあります.ハウスダストやダニによる通年性アレルギー性鼻炎が多いですが,スギ花粉症などの季節性アレルギー鼻炎も増加傾向にあります.気管支喘息を有する小児の60%程度にアレルギー性鼻炎が合併しています.検査所見としては,ダニ,ハウスダスト,花粉などに対する抗原特異的IgE陽性,鼻汁好酸球陽性を示します.

急性鼻炎,急性鼻副鼻腔炎,慢性鼻副鼻腔炎では,ウイルスまたは細菌による感染により粘膜に炎症や腫脹が起こります.鼻を上手にかまないと,膿性から粘性の鼻汁が鼻内に充満し,高度の鼻閉になります.ウイルス感染の場合には,1週間程度で治癒します.細菌感染が生じた場合には鼻汁が膿性になり,軽快までに1-3週間を要します.炎症が副鼻腔まで達すると鼻副鼻腔炎になります.膿性鼻汁が続く場合には,抗菌薬の投与が必要になります.慢性鼻副鼻腔炎を起こした場合には,クラリスロマイシン長期少量投与などによる治療が必要になります.

アデノイドが肥大すると,鼻閉が生じます.アデノイド肥大のみによる鼻閉では,鼻汁が出ていないのに常に鼻閉がみられます.また,高度な鼻閉のために口呼吸となり,アデノイド顔貌と呼ばれる口を半開きにしたような状態となります.

アレルギー性鼻炎と急性鼻炎は症状が似ているために,区別が難しい場合があります.アレルギー性鼻炎に急性鼻炎,急性鼻副鼻腔炎,慢性鼻副鼻腔炎を併発すると,鼻症状が悪化してしまいます.アレルギー性鼻炎を治療せずにいると鼻粘膜が腫脹するため通気が不良になり,慢性鼻副鼻腔炎になりやすくなります.アデノイド肥大がある場合にも通気が不良になり,慢性鼻副鼻腔炎になりやすくなります.これらの疾患は相互に作用するため,症状が悪化し,診断,治療が難しくなる場合があります.

お子さんに鼻づまりがある場合には,当院にご相談ください.いびき,開口睡眠がある場合には要注意です.アレルギー検査,顔面のX線撮影などの検査をして,適切に治療します.