スギ花粉症は,スギ花粉によって生じるアレルギー疾患の総称で,体の免疫機構が花粉に過剰に反応し,くしゃみ,鼻汁,鼻づまり,眼のかゆみ,涙目などの症状が現れます.全国調査によると,日本人の4人に1人が花粉症に罹患していると考えられており,そのうち約 70%はスギ花粉症であると推察されています.スギ花粉症は若年から中年層にかけて幅広く認められますが,近年では発症年齢が低年齢化していると指摘されています.

スギ花粉症の治療には,第2世代抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬の内服,ステロイド点鼻液,抗ヒスタミン点眼液などが用いられます.これらの薬剤を使用すると症状は軽減しますが,スギ花粉症が治るわけではありません.

アレルゲン免疫療法は,アレルゲンを少量から投与することで,からだをアレルゲンに慣らしていく治療法です.アレルゲン免疫療法には,皮下免疫療法と舌下免疫療法があります.皮下免疫療法は皮下に注射する治療法で,医療機関で行われます.注射であるため痛みを伴い,長期間の通院が必要になります.一方,舌下免疫療法は舌下に治療薬を投与するため,痛みがなく,自宅で服用できます.日本では,スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が保険適応になっています.

既に,2014年10月より,鳥居薬品株式会社から「シダトレンスギ花粉舌下液」(以下,シダトレン)を販売されています.シダトレンは,スギ花粉症に対する舌下投与によるアレルゲン免疫療法薬です.保険適応は,12歳以上です.1日1回少量から服用を始め,2週間は徐々に増量し,その後は決まった量を数年にわたり継続します.初回の服用は,スギ花粉が飛散していない時期に,医師の監督のもとに行う必要があります.服用方法は,治療薬を舌の下に滴下し,2分間保持した後に飲み込みます.その後5分間はうがい,飲食を控えます.スギ花粉が飛んでいない時期も含め,毎日服用します.服用する前後2時間程度は,激しい運動,アルコール摂取,入浴などは避けるようにしてください.

2018年6月29日,鳥居薬品株式会社から「シダキュアスギ花粉舌下錠」(以下「シダキュア」が発売されました.シダキュアもシダトレンと同様に,スギ花粉症に対する舌下投与によるアレルゲン免疫療法薬です.シダキュアの保険適応は,原則として5歳以上です.シダキュア維持期の抗原量はシダトレンの2.5倍です.シダキュアはシダトレンより高い有効性が期待できます.シダトレンは液体のため冷蔵保存が必要でしたが,シダキュアは速溶性の舌下錠のため室温保存できます.投与開始後1週間は,シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU を1日1回1錠,投与2週目以降はシダキュアスギ花粉舌下錠5000JAU を 1日1 回1錠,舌下で1 分間保持した後,飲み込みます.その後5分間は,うがいや飲食 を控えます.

当院では,既に,シダトレンを用いてスギ花粉症の,ミティキュアを用いてダニ通年性アレルギー性鼻炎の治療を多数に患者さんに行っています.シダトレンからシダキュアへの変更,ミティキュアとシダキュアの並行治療も可能です.

スギ花粉症を根本的に治したい方は,当院にご相談ください.5歳以上12歳未満はシダキュア,12歳以上はシダキュアまたはシダトレンを用いて治療します.シダキュアは新薬のため,2019年5月頃までは1回の受診について2週間分しか処方できません.ご注意ください.