夜尿症の治療では,まず2-4週間の生活習慣の改善を図ります.適切な夕食時間の設定,夕方から夜間にかけての飲水制限などを行います.効果が不十分な場合には,合成抗利尿ホルモン薬であるミニリンメルトOD錠の投与や夜尿アラーム療法を行います.これらの治療で効果が不十分な場合には,抗コリン薬の追加などが行われます.夜尿症における治療上の留意点は,以下の通りです.

ミニリンメルトOD錠には,年齢や体重による投与量は設定されていません.夜尿症に対しては,年齢や体重にかかわらず1 日1回120μgから投与を開始します.低ナトリウム血症や水中毒の発現を防止するため,投与は低用量から開始し,投与量の増量は慎重に行います.

ミニリンメルトOD錠の服用時には,過度の飲水を避けてください.ミニリンメルトOD錠服用2-3時間前(夕食後)から翌朝までの水分量は,コップ1杯程度に抑えてください.過剰に水分を摂取した上でミニリンメルトOD錠を投与すると,低ナトリウム血症を引き起こし水中毒へ至ることがあります.十分注意してください.

ミニリンメルトOD錠を飲み忘れて就寝してしまった場合には,無理に起こして服用させないでください.翌日の就寝前から通常通りに服用するようにしてください.前日服用しなかったので,前日分と合わせて2回分を一度に服用することは絶対にしないでください.

夕食から就寝までの時間が短く,夕食後2時間以内にミニリンメルトOD錠を服用し就寝する場合には,夕食の野菜や果物などに含まれる水分を含め,夕食時から就寝までの水分摂取量をコップ1杯までにとどめてください.それ以上の水分を摂取した場合には,ミニリンメルトOD錠の服用を止めてください.部活動などで夕食が遅くなる場合の水分摂取制限の方策としては,部活動の前や途中の休息時間に飲食する,汗を多くかいた場合には家に帰ってからでなく部活動終了直後に水分を十分に取る,夕食はご飯よりも水分量が少ないパンを主食にする(ただし牛乳は飲まない),などが挙げられます.ミニリンメルトOD錠の吸収は食事の影響を受けます.食後直ぐの服用では,十分な効果が得られない可能性があります.注意してください.

ミニリンメルトOD錠1日1回就寝前に120μgから投与を開始し,2-4週間で効果不十分の場合には240μgへ増量することができます.

夜間睡眠中に夜尿症の子どもを起こすと,抗利尿ホルモンの分泌,ナトリウムの代謝,血圧調整機構などが影響を受け,夜間多尿や尿意覚醒の欠落が起こる可能性が指摘されています.夜間に起こすことが行動療法として夜尿症に有効であったとの報告もあれば,再発を含め長期的な改善に寄与するかは不明とする報告もあります.夜間に起こすことの当否については明確な結論は出ていませんが,問題点が多く推奨はされていません.ただし,短期の宿泊行事などに限っては,起こしても差し支えはありません.

おむつの使用により,尿意で起きようとする意欲や治療モチュベーションが低下する可能性が指摘されています.また,おむつを使用しないことが夜尿症患者の意識改革につながり,夜尿頻度が減る可能性があるという指摘もあります.一方,おむつの使用と夜尿症の経過には関連がなかった,おむつの使用により睡眠の質に低下がみられなかったとする報告もあります.現時点では,おむつの使用が夜尿症の治療に有用なのか弊害があるのかは分かっていません.衣類や寝具の洗濯が保護者の負担になっている場合,夜間尿量測定を行う場合,おむつ一体型アラームによる治療を行う場合,宿泊行事に参加する場合などは,おむつの使用は許容されます.おむつの常用はしない方がいいでしょう.

当院には,夜尿症の治療で数多くのお子さんが通っています.一般的には6歳以上が治療の対象になります.お子さんの夜尿症でお困りの場合には,当院にご相談ください.適切に検査,治療をします.