当院ではワクチン接種のたびに母子手帳の予防接種欄をチェックし,接種漏れのワクチンがある場合には早目の接種を勧奨しています.接種漏れが目立つワクチンは以下の通りです.

日本脳炎ワクチン:通常,3歳で2回,4歳で1回,9歳で1回の合計4回の接種を受けます.衛生環境の改善やワクチンの普及などにより,日本脳炎の患者は激減し,その数は年間数人から12人程度です.日頃,日本脳炎患者に接する機会がないため危機意識が薄く,ワクチンの接種漏れに繋がっています.また,2005年から約4年間,日本脳炎ワクチンの製造法変更に伴い接種の積極的勧奨が一時的に中止になりました.この影響で,接種漏れ者が10歳代に蓄積しています.

2種混合ワクチン:通常,11-12歳(小学校6年生)で1回接種を受けます.9歳の日本脳炎ワクチンの接種後しばらくは定期接種がないため,どうしても接種を忘れがちになってしまいます.近年も年間数十人の破傷風患者が確認されています.抗体持続のためには,接種が必要です.

水痘ワクチン:通常,1歳になったら直ぐに1回目を,その6-12カ月後に2回目の接種を受けます.水痘ワクチンの抗体獲得率は80%程度です.また,一旦抗体を獲得しても減衰することがあります.高い抗体化を維持することは,水痘だけでなく帯状疱疹の発症阻止にも寄与します.2回の接種が必要です.

おたふくかぜワクチン:通常,1歳になったら直ぐに1回目を,小学校入学前1 年間に2回目の接種を受けます.おたふくかぜワクチンの抗体獲得率は70-80%程度です.また,一旦抗体を獲得しても減衰することがあります.おたふくかぜの合併症としては,3-10%に無菌性髄膜炎が,700-1000人の1人の割合で難聴が起こることが知られています.おたふくかぜによる難聴は極めて難治です.2回の接種が必要です.任意接種ですが,是非受けてください.

B型肝炎ワクチン:通常,乳児期に3回の接種を受けます.2016年10月から定期接種化されたため,2016年4月1日以降に生まれたお子さんは全員が接種を受けています.それ以前に生まれたお子さんは任意接種のためにほとんどが未接種です.B型肝炎ワクチンの接種により,急性肝炎,肝硬変,肝細胞癌のリスクが大幅に低下します.B型肝炎ウイルスは血液だけでなく,涙,唾液,汗でも感染します.国内でも,保育園や柔道部での集団感染が報告されています.B型肝炎は性行為でも感染します.B型肝炎ワクチンは,年齢に関わらず接種を受けることができます.未接種の方は,是非受けてください.

子宮頸がん予防ワクチン:通常,中学1年生女子が3回の接種を受けます.2013年4月より定期接種化されました.接種後に接種部位以外の体の広い範囲に持続する疼痛を訴える症例が発生したために,積極的な接種勧奨の一時差し控えが行われています.子宮頸がん予防ワクチンは多くの国で導入されていますが,特段の問題は発生していません.日本だけが特異な対応を行っています.現在も接種を希望する場合には定期接種として接種を受けることができます.当院では接種を行っています.中学1年生以上の女子で未接種の場合には,早めに接種を受けてください.