新潟県では,今年は例年よりも1週間程度早く,2月24日からスギ花粉の本格的飛散が始まりました.晴れた日には,目が痒く,鼻がムズムズしてしまいます.今年も多くの方が,成人,小児を問わず,当院にスギ花粉症のお薬の処方を受けに来院しています.スギ花粉症における治療上の注意点は以下の通りです.

(1)早目に治療を開始する
スギ花粉によってアレルギー性炎症が鼻粘膜や結膜で起きると発赤や腫脹が生じ,薬剤が効きづらくなります.「鼻アレルギー診療ガイドライン」では「初期療法」が推奨されており,「第2世代抗ヒスタミン薬,抗ロイコトリエン薬,鼻噴霧用ステロイド薬は花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた時点で開始し,その他の薬剤では飛散開始予測日の1週間前をめどに治療を始める.」と記載されています.新潟県におけるスギ花粉の本格的飛散開始は例年3月1日前後です.遅くとも2月11日の建国記念日前後には処方を受け,手元に薬剤を用意して起きましょう.

(2)治療を中断しない
雨の日や気温が低い日はスギ花粉の飛散量が少なくなるため,症状が軽くなる場合があります.油断をして治療をさぼっている時に晴れて気温が上がると突然スギ花粉が大量飛散し,くしゃみや鼻汁が止まらず,目が痒くて結膜が真っ赤になってしまいます.晴れた日に屋外で着た衣服等にはスギ花粉が付着しています.窓からもスギ花粉が侵入するため,屋内にもスギ花粉は存在します.スギ花粉の飛散が終わるまでは,治療を継続しましょう.

(3)抗ヒスタミン薬の効果,副作用にはかなりの個人差がある
くしゃみ,鼻汁には,内服用抗ヒスタミン薬を処方します.現在使用が推奨されている第2世代抗ヒスタミン薬は,効果が高く,眠気などの副作用が少なくなっています.しかし,かなりの個人差があり,効果や副作用は実際に服用してみないと分かりません.第2世代抗ヒスタミン薬にはたくさんの種類があります.自分に合った薬を見つけましょう.

(4)点眼用抗ヒスタミン薬は継続使用する

目の痒みがある場合には,点眼用抗ヒスタミン薬を処方します.目が痒い時だけ使用しても効果がありますが,継続使用した方が効果は高くなります.抗ヒスタミン薬には,痒みを引き起こす化学伝達物質の1つであるヒスタミンの作用を直接阻害する作用があります.近年,抗ヒスタミン薬にはこのほかに「インバースアゴニスト」としての作用があることが明らかになり,継続使用することにより細胞を静的状態に保ちヒスタミンが遊離しにくくなります.内服用抗ヒスタミン薬の継続が必要なのも,同じ理由によります.

(5)点眼用抗ヒスタミン薬で効果不十分な場合には点眼用遊離抑制薬を併用する
点眼用抗ヒスタミン薬の1つであるリボスチン点眼液で眼症状がコントロールできない場合には,点眼用遊離抑制薬のインタール点眼液を併用します.パタノール点眼液,アレジオン点眼液には遊離抑制作用があるため,保険診療上インタール点眼液との併用が認められていません.

(6)症状悪化時には鼻噴霧用ステロイド薬を追加する

内服薬で治療を開始したのに,花粉飛散量の増加とともに鼻症状が悪化することがあります.このような場合には,鼻噴霧用ステロイド薬をためらわずに追加使用します.

(7)鼻症状と眼症状をともにコンロールする
鼻と眼には反射があり,相互に影響を及ぼします.内服薬で効果不十分な場合には,鼻噴霧用ステロイド薬で鼻症状を,点眼用抗ヒスタミン薬で眼症状を,ともにコントロールしないといけません.

(8)点鼻用血管収縮薬の使用は1-2週間が限度
鼻閉がひどい場合には点鼻用血管収縮薬(商品名:トーク点鼻液など)を処方することがありますが,その使用は1-2週間が限度です.使用し続けると効きが悪くなってしまいます.鼻閉がある程度改善したら,点鼻用血管収縮薬は中止し,鼻噴霧用ステロイド薬の使用を継続してください.

私自身も重症スギ花粉症患者です.この時期は,第2世代抗ヒスタミン薬,抗ロイコトリエン薬,鼻噴霧用ステロイド薬,点眼用抗ヒスタミン薬を使用しないと,まともに日常生活を送ることができません.自身の経験を元に,ぴったりのお薬を処方します.スギ花粉症でお困りの方は成人を含め,当院に是非ご相談ください.