2019年,新潟県では2月24日よりスギ花粉の本格的飛散が始まりました.飛び始めが例年より1週間程度早く,花粉飛散量が多かったために,スギ花粉症の方の多くは辛い春を過ごしたようです.今年初めてスギ花粉症を発症した方も数多くいました.当院では,小児,成人を問わずに例年よりも多くのスギ花粉症の方が来院しました.

スギ花粉症は,スギ花粉によって生じるアレルギー疾患の総称で,体の免疫機構が花粉に過剰に反応し,くしゃみ,鼻汁,鼻閉,眼のかゆみ,涙目などの症状が現れます.全国調査によると,日本人の4人に1人が花粉症に罹患していると考えられており,そのうち約 70%はスギ花粉症であると推察されています.スギ花粉症は若年から中年層にかけて幅広く認められますが,近年では発症年齢が低年齢化していると指摘されています.

スギ花粉症の治療では,第2世代抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の内服,鼻噴霧ステロイド薬や抗ヒスタミン薬点眼液などが用いられます.これらの薬剤を使用すれば症状を抑えることはできますが,スギ花粉症が治るわけではありません.

スギ花粉症を根本的に治す方法として,舌下免疫療法が推奨されます.当院では,既に「シダキュアスギ花粉舌下錠」(以下,シダキュア)を用いて,100人以上のスギ花粉症の成人および小児を治療しています.

シダキュアは,スギ花粉症に対する舌下投与によるアレルゲン免疫療法薬です.アレルゲン免疫療法は,アレルゲンを少量から投与することで,からだをアレルゲンに慣らしていく治療法です.シダキュアの保険適応は,原則として5歳以上です.投与開始後1週間は,シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU を1日1回1錠,投与2週目以降はシダキュアスギ花粉舌下錠5000JAU を 1日1 回1錠,舌下で1 分間保持した後,飲み込みます.その後5分間は,うがいや飲食 を控えます.

シダキュアの効果については,3年間服用を続けると約7割のスギ花粉症が克服できるとされ,服用期間が長いほど効果も長く続くと考えられています.ただし,シダキュア が発売されたのは2018年6月なので,効果についてはまだ十分な症例の蓄積がありません.当院でシダキュア を開始して数カ月以上経過したスギ花粉症の方の多くは,「今年はスギ花粉の飛んでいるのが分からない.」「春先になると必ずくしゃみ,鼻汁,目の痒みがひどかったが,今年は症状が軽い.」」「この春は点鼻薬や目薬がなくても,なんとか生活できる.」という感想を持っているようです.私自身もスギ花粉症でシダキュア を半年間服用しましたが,目の痒みは多少感じますが,くしゃみ,鼻汁,鼻閉はほとんどなく,例年よりも楽に春を過ごすことができました.

シダキュア の副作用としては,喉のイガイガ感があります.多くの場合,次第に慣れて来て症状がなくなり,治療の継続が可能です.しかし,数%の方は症状が強いためにシダキュア の減量または中止が必要になります.こうした場合には,「吐き出し法」へ変更することにより治療が可能になります.

シダキュア は,スギ花粉飛散期に開始をすることができません.新潟県では桜の花が全部散り終わる頃に,スギ花粉の飛散が終了します.ゴールデンウィーク後には,治療開始が可能です.

シダキュア は新薬のため1回の受診について2週間分の処方しかできませんでしたが,5月以降は制限が解除され30日分の処方が可能になります.

シダキュア に先立って2014年10月に発売された「シダトレンスギ花粉舌下液」(以下,シダトレン)は,2020年4月に経過措置品目に移行し,2021年3月31日に完全に発売中止になります.シダトレンを服用中の方は,5月以降にシダキュア への切り替えをお勧めします.

スギ花粉症を根本的に治したい方は,当院にご相談ください.シダキュア は初回投与に限って院内での30分の観察が義務付けられています.シダキュア による治療をご希望の方は,ゴールデンウィーク後に,午前は10:00までに,午後は4:00までに受診してください.当院で適切に治療します.