B型肝炎ワクチンは2016年10月1日より定期接種化され,通常乳児期に3回の接種を受けます.同年4月1日以降に出生した児は公費負担で接種を受けており,接種率はほぼ100%です.それ以前に生まれた児は任意接種ですが,当院では積極的に接種を勧めています.このほか,母子感染予防の対象児,医療従事者,高頻度国への渡航者などが接種を受けています.

B型肝炎ワクチンの日本国内の需要は,1年間に350-450万回接種分です.B型肝炎ワクチンにはMSDの「ヘプタバックス」とKMバイオロジクス(株)の「ビームゲン」があり, 2社から年間350-640万回接種分が市場に供給されています.2016-2018年度の総供給量に占める割合は,「ヘプタバックス」が7割,「ビームゲン」が3割程度でした.

2019年4月,MSDは原液製造の工程で所定の規格を満たさない事象が断続的に発生したために,日本及び世界各国に向けて供給している全ての「ヘプタバックス」の製造を自主的に中止していること,早ければ2019年10月以降に日本国内における供給ができなくなること,製造及び供給の再開は早くても2020年半ばになることを,厚生労働省健康局健康課に報告しました.

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000499341.pdf

当院では,MSDの発表を受け,B型肝炎ワクチンを「ヘプタバックス」から「ビームゲン」に変更しました.多くの医療機関が同様の措置を取ったため,「ビームゲン」の出荷量が急激に増加しました.このため,現在,KMバイオロジクス(株)から薬品卸会社に対して,「ビームゲン」の出荷調整が行われています.医療機関の希望通りに,薬品卸会社から「ビームゲン」が供給されるわけではありません.2019年10月末までは出荷調整が続きます.

7割のシェアを持っていた「ヘプタバックス」が市場からなくなるため,厚生労働省はKMバイオロジクス(株)に対して「ビームゲン」を増産するよう要請しました.「ビームゲン」には.0.25mL製剤と0.5mL製剤があります.生産効率を上げ安定供給を行うため, KMバイオロジクス(株)は「ビームゲン注0.25mL」の製造を中止し,「ビームゲン注0.5mL」のみを製造することにしました.2019年11月以降は,「ビームゲン注0.25mL」は在庫消尽をもって欠品,「ビームゲン注0.5mL」は増産分が供給される予定です.

上記のような理由により,B型肝炎ワクチンの需給が全国的に逼迫しています.薬品卸の在庫不足や流通遅滞により,突然の入荷停止や延期が起こる可能性があります.このように当院の責任を超えた事態が発生した場合には,予約済みでも接種が中止あるいは延期になることがあります.実際に,過去に何度も同様の事態が生じています.ご承知おきください.