気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎における特異的IgE抗体陽性率をみると,ダニ,スギに次いで蛾やゴキブリなどの昆虫アレルゲンの陽性率が高く,ネコ,イヌ,イネ科雑草,ブタクサやヨモギ,ユスリカ,真菌(アルペルギルス,アルテルナリア)などと同等か高い陽性率を示します.

ダニの主要抗原であるDer p 1では2μg/g室内塵で感作が,10μg/g室内塵で気管支喘息が発症することが知られています.都会,地方都市,田園の室内塵中の蛾のアレルゲン量は212-266μg/g室内塵で,いずれの場所においても感作や喘息発症を引き起こすのに十分量のアレルゲンが存在しています.

主な昆虫アレルゲンは以下の通りです.

1.蛾(屋内):屋内で発生する蛾には,メイガとイガ(衣蛾)があります.メイガは穀類,乾燥果実,お菓子やペットフードなどに発生する食品害虫で,成虫の大きさは6-9mmです.全国調査で家屋の約90%でメイガが捕獲されたとする報告があります.イガはウールなどの動物性繊維を使用した衣類や布団に発生する衣類害虫で,成虫の大きさは4-6mmです.幼虫は光を嫌い暗い場所で活動します.成虫は夜行性で屋外や室内を飛びます.夜行性のため目にする機会が少なく,このためアレルギーの原因としての認知度が低く,見過ごされやすいアレルゲンです.幼虫のフン,成虫の鱗粉や死骸がアレルゲンになります.アレルゲン量は春から秋にかけて多く,特に秋に増加します.
2.蛾(屋外):樹木などの植物に発生し,光(灯り)に誘引されます.成虫の鱗粉や死骸がアレルゲンになります.アレルゲン量は春から秋にかけて多く,特に秋に増加します.
3.ユスリカ:湖沼や河川,用水路などの水域で増殖します.ユスリカは蚊に似ていますが吸血せず,光(灯り)に誘引されます.細かい塵となった死骸がアレルゲンになります.春,初夏,秋に集中して発生します.
4.ゴキブリ:昼間は暗くて狭い所に潜み,夜間に活動します.気温が25℃以上になると活動が活発になります.ゴキブリは1年を通して見られ,特に夏に増加します.フンや死骸がアレルゲンになります.

掃除,アレルゲン回避のポイントは以下の通りです.

A.台所
ゴキブリ:台所・風呂場・洗面所などの水周り,冷蔵庫・OA機器など温度が保たれる場所,ゴミ箱や食品などの周りを掃除します.ゴミ箱は蓋のあるものを使用します.捕獲器(粘着トラップ),毒餌剤使用による死骸はすぐに始末をしましょう.
メイガ:食品は密閉性の高い容器で保存します.メイガが発生した食品は廃棄をし,その付近の掃除を丁寧に行いましょう.
B.寝室,その他
イガ:カーテンの定期的な洗濯,クローゼットの奥や隙間の掃除を行い,衣替え時は洗濯をしてから収納します.衣装ケースには,防虫剤を必ず入れましょう.
C.リビング
蛾,ユスリカ:照明機器を定期的に掃除します.灯りに誘引されて屋内に入るため,窓やドアには網戸を設置します.灯りに誘引された蛾,ユスリカが死骸となって窓付近にたまるため窓付近の掃除はとくに丁寧に行いましょう.

昆虫アレルゲンに感作されているかどうかは,血中特異的IgE抗体の測定によって確認することができます.ダニ,ハウスダスト,各種の花粉,カビなどに加えて,蛾,ユスリカ,ゴキブリの検査も可能です.当院では,これらの抗原も積極的に検査しています.ご心配な方はご相談ください.