チャドクガ (茶毒蛾,学名:Euproctis pseudoconspersa)は鱗翅目ドクガ科に属する蛾の一種で,日本では本州以南に分布しています.チャドクガは,5-6月と8-9月の年に2回卵から孵化して幼虫(毛虫)になり,6-7月と9-10月に成虫(蛾)になります.幼虫は,チャ(茶),サザンカ(山茶花),ツバキ(椿)などの葉につきます.体長は25mm程度で,からだは黒地でオレンジ色の線が入っており,白と黒の長い毛がたくさん生えています.

チャドクガの幼虫のからだには,長さ0.1mmほどの毒針毛(どくしんもう)がおよそ30-50万本あります.毒針毛は幼虫の体表に生えている長い毛とは違い,長さが0.1mm程度なので顕微鏡で拡大しないと見えません.毒針毛はヒスタミンなどの痒みを引き起こす物質を持つため,有毒です.毒針毛に触れると,直後に皮膚が赤く腫れて痒みが出現します.1-2日後に赤くブツブツしてきて痒みが強くなります.発疹やかゆみは,2-3週間続きます.毒針毛は幼虫だけでなく,卵の殻,さなぎ,成虫,脱皮した殻にもあり,刺傷被害を起こします.飛散した毒針毛が皮膚に付着した場合にも症状が起こります.

毒針毛が刺さった皮膚には炎症が起こります.このため,発疹は腕,首などの露出部に多く,非対称的です.薄い衣服では毒針毛が通ってしまうので,シャツなどに覆われた皮膚に発疹が出ることもあります.チャドクガは葉の裏側にいるため,植え込みや生垣の手入れや草むしりをした人がチャドクガに気付かずに発症してしまいます.また,落ちてきた毒針毛に触れて発症することがあるため,公園で遊んでいた子ども,木のそばで洗濯物を干していた人に発症することもあります.

チャドクガの幼虫に触ったあるいは刺されたと思ったら,皮膚にセロハンテープやガムテープを貼る,剥がすという作業を繰り返し,毒針毛を取り除いてください.その後,シャワーで洗い流してください.皮膚を強く掻くあるいはこすってはいけません.毒針毛が皮膚に深く刺さってしまいます.衣類に付着した毒針毛は洗濯で洗い流すことができますが,1度では取りきれないことがあるため複数回洗濯してください.ほかの洗濯物とは一緒に洗わず,すすぎを長めにする必要があります.

かゆみが激しい,発疹がひどい,皮膚がただれた場合には,受診してください.副腎皮質ステロイド外用剤,抗ヒスタミン剤などを処方します.

チャドクガの幼虫を見つけたら,早急に駆除する必要があります.駆除する時は,帽子,長袖,長ズボン,ゴム手袋,マスク,ゴーグル,メガネなどを着用し,肌を露出しないようにしてください.幼虫が生息する葉に袋をかぶせて枝ごと切り取るのが効果的です.

チャドクガの幼虫は殺虫剤に弱いので,園芸店で売っている殺虫剤で駆除できます.ただし,幼虫が死んでも毒針毛は残るので,落ちてくる幼虫には触れないようにしてください.死骸や樹木に残っている毒針毛にも注意してください.