アレルギー検査とは?

現在,最も一般的に用いられているアレルギー検査は,血液中のIgEを調べるものです.IgEは採血をするだけで結果が分かり,簡便であることから普及しています.
アレルギー検査にはこのほかにパッチテスト,スクラッチテスト,吸入試験,負荷試験などがあり,それぞれ目的が異なります.IgEの結果だけでアレルギーの全てが分かるわけではありません.御注意ください.

IgEとは?

IgEは免疫グロブリンのひとつです.抗原(アレルゲン)が体内に侵入すると,血中IgEがマスト細胞と結合します.マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され(脱顆粒),粘膜や皮膚に作用して,さまざまな症状を引き起こします.一般的には血中IgE値が高いほど,アレルギーが強いと判断されます.

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検査では,血液中の総IgE値と特定の抗原に対する特異的IgEを測定します.検査の項目は,年齢や症状,問診などにより決定します.例えば,ネコを飼育していればネコ皮屑を,3月にくしゃみがひどければスギ花粉を,卵を食べて蕁麻疹が出れば卵白に対するIgEを調べます.

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表の上部分には,「特異的IgE(IgE RAST)」の結果が記載してあります.
どのような抗原に対してどの程度のアレルギーがあるかを示します.

6点満点で,0点が陰性.1点が疑陽性, 2点以上が陽性です.6点が最もアレルギーが強いことを示します.
  
表の下部分には,血液中のIgEの総量(IgE RIST)が記載してあります. IgEの高値はアレルギーが強いことを示します.

正常値は,1歳未満:20 U/ml以下.1-3歳:30 U/ml以下,4-6歳:110 U/ml以下,7歳以上:170 U/ml以下です.

食物アレルギーについて

一概には言えませんが...

  1. 検査が陽性だから,必ずしもその食品を食べていけないわけではありません.検査が陽性でも,食べて明らかに蕁麻疹が出る,口のまわりが赤くなる,のどがヒューヒューいう,アトピ?性皮膚炎が明らかに悪化するなどの症状を引き起こさない食品は,食べても差し支えありません.
  2. 検査が陰性でも,その食品を食べた場合に100%安全というわけではありません.検査が陰性でも,前項1.に示したような症状を引き起こす食品は食べないでください.
  3. 食物系アレルギーの検査は,生後2-3カ月は陰性のことが多く,離乳食の開始に伴い陽性になり始め,その後免疫能の発達に伴い陽性のものが増えたり強陽性になったりします.2歳を過ぎると腸管粘膜が成人とほぼ同様に発達するので,数年すると陰性化するものもあります.食物アレルギーの検査結果は,0-2歳では半年から1年くらいで変化することがあります.
    2歳を過ぎると腸管粘膜が成人とほぼ同様に発達するので,数年すると陰性化するものもあります.食物アレルギーの検査結果は,0-2歳では半年から1年くらいで変化することがあります.
  4. アレルゲンによって陽性が出やすいものと出にくいものがあります.卵白,卵黄は陽性になりやすく,米は陽性になりにくいという傾向があります.
  5. 卵白・卵黄と鶏肉(←親子),大豆と醤油(←原料は同じ)の抗原性は同じではありません.
  6. 主な食品についてはプロバビリティーカーブが用意されており,一般的にはIgE値が高いほど食物アレルギーが誘発される確率が高くなります.

吸入アレルゲンについて

一概には言えませんが...

  1. 検査が陽性だから,必ずしもその物質が気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎を直接引き起こすとは限りません.しかし,検査で陽性を示した物質は,上記の症状発現や悪化に関与する可能性が高いので,環境整備には十分に留意しましょう.
  2. 検査が陰性でも,その物質が100%無関係であるとは言い切れません.検査が陰性でも,気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎を引き起こすと考えられる物質はなるべく避けてください.
  3. 吸入系アレルギーの検査は,乳児期前半は陰性のことが多く,乳児期後半から幼児期にかけて陽性を示すようになります.気管支喘息のお子さんでは,1-2歳前後にハスウダストやダニに陽性を示すようになります.その後強陽性になったり,陽性を示す物質が増えたりします.
  4. 吸入系アレルギーの検査は,一旦陽性になると,その後陽性が持続することが多いです.乳幼児期は比較的短期間で陽性になることがあるので,半年後あるいは1年後に検査が必要になることがあります.しかし,学童以上では一旦陽性を示した場合にはその後も陽性が持続するので.半年から1年に1度同じ物質に対するアレルギーを繰り返し検査することはあまり意味がありません.
  5. ハウスダストやダニに対して陰性だから気管支喘息でないということではありません.小児喘息のうちの約10%は非アトピー型喘息で,発症にアレルギー反応があまり関与しません.乳幼児では免疫能が未熟なために,実際にはアレルギーがあるのに検査で陽性を示さないことがあります.
  6. ハウスダスト3点が3年後に2点になっても誤差の範囲内です.1,2点の変動に一喜一憂することは意味がありません.

よく訊ねられる質問

Q.検査でダニやハウスダストにアレルギーがないので,気管支喘息ではないですね?
A.そうとは限りません.気管支喘息の約10%は非アトピー型喘息といって,発症にアレルギーが関与しない場合があります.乳幼児では免疫能が未熟なため,アレルギーがあっても検査では陽性を示さないことがあります.

Q.検査で卵白が陽性でした.卵は食べてはいけませんか?
A.卵を食べても蕁麻疹の発現,アトピー性皮膚炎の悪化がなければ食べて差し支えありません.ただし,十分に過熱調理したものから与えてください.いきなり生卵を与えないでください.

Q.検査でアレルギーがあるうちは,気管支喘息やアトピー性皮膚炎の治療が必要でしょうか?
A.そうとは限りません.検査が陽性でも,必ずしも治療が必要とは限りません.