IgA血管炎とは?

IgA血管炎とは,免疫学的反応により生ずる全身性の小血管炎を基本病態とする疾患です.かつては,アレルギー性紫斑病,血管性紫斑病,Henoch-Schönlein紫斑病などと呼ばれていました.4-7歳に好発しますが,成人発症もみられます.男女差はありません.

原因は?

溶連菌,マイコプラズマ,キャンピロバクターなどの細菌感染症やEB,水痘,アデノ,サイトメガロなどのウイルス感染症,抗生物質や利尿剤などの薬剤,牛乳,鶏卵,魚肉,トマト,チョコレートなどの食物,昆虫刺傷,予防接種などが原因として報告されています.しかし,個々の症例で原因特定することは不可能です.本症では,このような各種の抗原刺激が引き金となり,免疫グロブリンの1つであるIgAの産生が亢進し,免疫複合体が形成されることにより補体の活性化などの免疫異常が生じ,細動静脈に血管炎が起こると考えられています.

症状

細動静脈は全身に広く分布しているため,本症の臨床症状は多彩です.

1.皮膚症状(ほぼ全例に出現):紫斑が四肢とくに下肢に好発し,そのほか臀部,下腹部,顔面に左右対称に出現します.
2.限局性浮腫(30-50%):顔面,頭部,足背,手背,男児では陰嚢に浮腫(むくみ)が生じます.
3.関節症状(60-70%):膝,足関節に好発し,多くは痛みがあり,軽度の腫脹を伴うこともあります.
4.腹部症状(60-80%):腹痛,嘔吐,血便,下血などが起きることがあります.外科的疾患と鑑別が困難なことがあります.また,腹部症状が皮膚症状に先行することが10-20%あり,本症の診断が遅れることがあります.
5.腎症状(20-60%):紫斑出現の1-4週間後に血尿,蛋白尿が出現します.紫斑病性腎炎と呼ばれます.一般的には予後良好ですが,再発を繰り返す例や急性進行性腎炎,ネフローゼ症候群を呈する例もあります.
6.神経症状(30%):頭痛,情緒不安定,けいれんなどが起こります.

検査所見

血液凝固因子のひとつである第XIII因子が低下することがあります.

治療

確立した治療法はなく,対症療法が中心です.一般的には安静臥床が良いとされ,多くの場合入院治療が必要になります.腹部症状が強い場合には,ステロイド薬の投与を行います.近年,第XIII因子の補充療法が有効との報告があります.

予後

一般的に予後は良好で,数週間で回復します.紫斑が遷延,再発する例があります.腎障害の有無が長期予後を左右します.まれに腸穿孔などの外科的疾患,ごくまれに中枢神経系の合併症などにより致命的となることがあります.