解熱剤といっても,いろいろあります.解熱剤は体温を下げる作用があるだけで,病気を治すものではありません.
しかし,子どもは高体温が持続すると体力を消耗してしまいます.炎天下でマラソンを延々と走らされているのと同じ状態です.
解熱剤で一時的に熱を下げてあげれば,食べたり飲んだりしてくれますし.体力の消耗を軽減させることで,病気からの回復を助けてくれます.

1.アセトアミノフェン(商品名:アンヒバ,アルピニ,カロナールなど)

安全性が最も高い解熱剤です.解熱作用は他の解熱剤に比べると弱いですが,体温が1℃低下して38℃前後まで下がれば,エネルギー需要はかなり減少しますので,体力消耗を防ぐには十分です.体温を37℃以下まで下げる必要はありません.
ほとんどの場合,アセトアミノフェンで十分な解熱効果が得られます.

#アセトアミノフェンは欧米でも小児に使用が認められています.2000年11月,日本小児科学会はインフルエンザの発熱にはアセトアミフェンを第1選択薬として用いるように勧告を出しました.

2.イブプロフェン(ユニプロン,ブルフェンなど)

アセトアミノフェンで解熱効果が全くない場合に使用されます.#イブプロフェンは欧米でも小児に使用が認められています.しかし,2001年6月,日本小児科学会はインフルエンザの発熱には非ステロイド系解熱剤の使用を控えるように勧告を出しました.インフルエンザの発熱には使用しない方がよいでしょう.

3.メフェナム酸(ポンタールなど)

解熱効果が強いため,過量投与により容易に低体温を引き起こします.動物実験ではミトコンドリア障害などが報告されているので,使用しない方がいいでしょう.

4.ジクロフェナク(ボルタレンなど)

解熱効果が強く,ショックを起こすことがあります.動物実験では血管修復作用を阻害することが報告されています.
2000年11月,厚生省はジクロフェナク投与により,インフルエンザ脳炎・脳症を悪化させる可能性があると発表しました.やむを得ない場合以外には使用しない方がいいでしょう.

#メフェナム酸やジクロフェナクは欧米では小児の解熱剤としては認められていません.

5.アスピリン,サリチル酸および類似物質

インフルエンザ,水痘罹患時にアスピリンを服用するとライ症候群という急性脳症を引き起こすことが,アメリカ合衆国で既に明らかにされています.
市販の成人用バファリン,一部の子供用風邪シロップ,医家用のバファリン,PL顆粒,幼児用PL顆粒などには,アスピリン,サリチル酸,および類似物質が含まれています.

#1999年11月,厚生省はPL顆粒,幼児用PL顆粒などをインフルエンザに投与することは避けるように勧告を出しました.これらの薬剤をいたずらに服用することは避けましょう.

解熱剤と一言でいっても,背景には様々な事情があります.
とくにインフルエンザの流行時には,いつもらったか分からない薬や市販薬の服用はやめましょう.