「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」に記載されている任意接種のワクチンは,以下の通りです.是非受けてください.欧米先進国,中進国,一部の後進国では定期接種化されているワクチンが,日本では任意接種です.日本は先進国かつ経済大国ですが,残念ながら「ワクチン後進国」です.我が身我が子は自分で守るしかありません.

1.ロタウイルスワクチン:
ロタウイルス胃腸炎は乳幼児の胃腸炎のなかでは最も重症化しやすいです.激しい嘔吐や下痢が数日から1週間程度続き,高度の脱水になります.急激に脱水が進行し,死亡することもあります.脳炎や脳症を合併し,突然死することがあります.中等症以上は外来での治療はまず不可能です.ロタウイルス胃腸炎発症者の10人に1人は入院治療が必要になります.流行時には小児科病棟が満床になり,入院ベッドを探すのが非常に困難になります.

<接種方法>経口ワクチン.

ロタリックス(1価ワクチン):生後6週から24週の間に,4週間の間隔をあけて2回接種(1回目は生後15週未満を推奨).吐いた場合には飲み直しが可能.

ロタテック(5価ワクチン):生後6週から32週の間に,4週間の間隔をあけて3回接種(1回目は生後15週未満を推奨).吐いた場合には飲み直しが不可.

2.おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチン:

おたふくかぜは合併症の多い病気です.無菌性髄膜炎が3-10%(軽いものを含めれば10人に1人)に起こります.深刻な合併症として,難聴を400-1000分の1に残します.

<接種方法>2回接種が必要です
.1回目は生後12−15カ月の間に,2回目は5歳以上-7歳未満で接種します.

3.インフルエンザワクチン:

インフルエンザは脳炎・脳症,肺炎,中耳炎,関節炎など合併症の非常に多い病気で,死亡することもあります.インフルエンザワクチンの接種を受けても感染を100%免れるわけではありませんが,重症化を防ぐことができます.A/H1pdm09,A/H3(香港型),B/山形系統,B/ビクトリア系統の4株が含まれています.

<接種方法>毎年10-11月に接種します.6カ月以上13歳未満は2回接種,13歳以上は1回接種です.

4.3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチン:

通常,乳幼児期に4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)ワクチンの接種を4回受けています.日本では百日咳ワクチンは4回接種ですが,欧米諸国などでは5-6回接種です.日本では接種回数不足のために抗体価が減衰し,百日咳患者の流行が抑制されていません.

<接種方法>

(1) 5歳以上7歳未満で接種します.

(2) 11-12歳で2種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンを接種します.

5.ポリオワクチン:

乳幼児期に4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)を4回接種します.ポリオに対する抗体価が減衰する前に追加接種が必要です.

<接種方法>5歳以上7歳未満で接種します.

#B型肝炎ワクチン(現在は定期接種ですが,平成28年3月末日までに生まれた人は対象外です.):

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染経路は,注射器の共用,滅菌処理をしていない器具での刺青やボディピアスの装着,針の誤刺,性交渉,傷口への接触,出産や授乳時の母子感染などです.感染すると約30%が急性肝炎として発病します.急性肝炎発症者の約2%は劇症肝炎になり,劇症肝炎発症者の約70%が死亡します.HBVはヒトの肝臓に慢性持続性感染を起こします.現在日本にはHBV保有者(キャリア)が約150万人いると言われています.キャリアのうち10-15%が慢性肝炎を発症し,肝硬変,肝細胞癌に進行する場合があります.父子間の水平感染も重要です.父がキャリアの場合には,約10%の子が感染者になるという報告があります.HBウイルスキャリアの尿の73%,唾液の92%,涙の100%,汗の100%にウイルス排泄が証明されています.日本でも保育園や柔道部などでの集団感染が報告されています.1992年,世界保健機構(WHO)は全世界の全出生児に対してB型肝炎ワクチンを接種すべきであると勧告しました. B型肝炎ワクチンは,性行為,父子間などの家族内,保育園児間などの水平感染も防止してくれます.

<接種方法>3回接種で,1回目から27日以上,139日以上の間隔をおいて,2回目,3回目の接種を受けます.