麻疹(はしか)に自然感染したとき

●麻疹(はしか)は麻疹ウイルスの飛沫(ひまつ)感染によって起こる病気です.伝染力が強く,一生のうちに一度は必ずかかる重い病気です.
●主症状は,発熱,せき,鼻汁,眼やに,発疹です.
●最初3-4日間は38℃前後の熱がでて,一時治まりかけたかと思うとまた39-40℃の高熱と発疹が出現します.高熱は3-4日で解熱し,次第に発疹も消失します.しばらくは色素沈着が残ります.
●主な合併症としては,気管支炎,肺炎,中耳炎,脳炎があります.患者100人中,中耳炎は7-9人,肺炎は1-5人に合併します.脳炎は2000-3000人に1人の割合で発生がみられます.また亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん)(SSPE)という慢性に経過する脳炎は約10万例に1例発生します.
●麻疹は昔から「命定め」と呼ばれている恐い病気です.麻疹にかかった人10000人に1人の割合で死亡します(死亡率としてはかなりの高率です).わが国では,現在でも,年間約50人の子が麻疹で命を落としています.現在の医療水準でも死亡することがある恐い病気です.麻疹の経過中に急性循環不全(血圧がストンとさがって,心臓がパタッと止まる)が起きて,あっという間に死亡することがあります.重症化するか否かは誰にも予見できません.

麻疹ワクチンの受け方

○1歳のお誕生日を過ぎたら直ぐに接種をして下さい.1歳のお誕生日にお子さんにケーキやお祝いをあげるよりも,麻疹ワクチンを接種してあげることの方が重要です.標準的な接種年齢は生後12-15カ月です.
○保育園や幼稚園に通うお子さんは,生後9カ月頃に麻疹ワクチンの接種を受けて下さい(任意接種なので自費になります).この場合,母体からの免疫の影響でワクチンのつきが十分でない場合がありますので,1歳半頃にもう1度接種を受けて下さい(公費負担で無料になります).
○接種前3カ月以内に輸血またはガンマグロブリン製剤の投与を,接種前6-11カ月以内にガンマグロブリン大量療法を受けた方は,接種を受けられません.
○ 接種した95%以上の人が免疫を獲得できます.

麻疹ワクチンの副反応

○麻疹ワクチンは弱毒生ワクチンなので,ワクチン株が体内で増殖します.
○接種して5-14日後に,37.5-38.4℃の発熱が5.3%,38.5℃以上の発熱が8.1%,発疹が5.9%出現します.通常は1-2日で自然に治るので,心配ありません.
○発熱が生じた場合には,解熱剤の坐薬を使用して下さい.
○発熱に伴い熱性けいれんが約300人に1人起こります.過去に熱性痙攣を起こしたことがあるお子さんは,ひきつけ止めの座薬(ダイアップ)を使用して下さい(あらかじめ坐薬を用意しておくとよいでしょう.当院で処方します).
○発疹や痙攣が出現した場合,発熱が持続する場合には受診して下さい.

予防接種の神経合併症の頻度 −自然感染との比較−

疾   患 神経合併症の出現頻度
自然感染 ワクチン接種
急 性 脳 炎 1/1000 1/100万以下
亜急性硬化性全脳炎(SSPE) 16/100万 0.9/100万

接種を受けた後の注意

○接種当日はいつも通りの生活でかまいませんが,激しい運動は避けて下さい.入浴は差し支えありません.
○接種した部位は揉まないで下さい.押さえるだけで十分です.わざとこするのはやめましょう.
○麻疹ワクチン接種後は,4週間は他のワクチンを接種できません.

病気の後の予防接種までの期間

○麻疹の治癒後4週間,風疹・水痘・おたふくかぜの治癒後2-4週間,突発性発疹・手足口病・伝染性紅斑などの治癒後1-2週間程度は,予防接種を受けない方がよいでしょう.ただし,疾病流行期はこの限りでありません.
○上記疾患以外で高熱が出た場合には,1週間は予防接種を受けない方がよいでしょう.