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1.B型肝炎

B型肝炎は,B型肝炎ウイルスによる感染症です.B型肝炎ウイルスの持続感染者はアジア,アフリ力を中心に世界中で3億人以上,既感染者は20億人以上と考えられています.

B型肝炎の病態としては,一過性感染と持続性感染があります.一過性感染は急性肝炎,劇症肝炎,不顕性感染に,持続性感染は慢性肝炎とキャリア(無症候性・症候性)に大別されます.

B型肝炎ウイルスに感染すると約30%が急性肝炎として発病します.予後は一般的に良好ですが,急性肝炎発症者の約2%は劇症肝炎になり,劇症肝炎発症者の約70%が死亡します.

B型肝炎ウイルスはヒトの肝臓に慢性持続性感染を起こします.現在日本にはB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)が約100-150万人いると言われています.キャリアのうち10-15%が慢性肝炎を発症し,肝硬変,肝細胞癌に進行する場合があります.

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B型肝炎ウイルスの感染経路は,注射器の共用,滅菌処理をしていない器具での刺青やボディピアスの装着,針の誤刺,性交渉,傷口への接触,出産や授乳時の母子感染などです.日本では母子間の垂直感染ばかりが注目されて来ましたが,父子間の水平感染も重要です.父がキャリアの場合には,約10%の子が感染者になるという報告があります.HBウイルスキャリアの尿の73%,唾液の92%,涙の100%,汗の100%にウイルス排泄が証明されています.マウスを用いた実験で,キャリア児の涙に含まれるB型肝炎ウイルスには感染力があることが明らかになっています.保育園,学校にキャリア児がいれば,感染源になり得ます.

B型肝炎ウイルスは,現在8種類のgenotype(A,B,C,D,E,F,G,H)に細分化されています.世界の各地域で分布が異なっています.日本人ではgenotype BとCがほとんどを占めていますが,近年genotype Aの増加とともにキャリア化が問題になってきています.

2.B型肝炎ワクチン

1992年,世界保健機構(WHO)は全世界の全出生児に対してB型肝炎ワクチンを接種すべきであると勧告しました.現在,世界中のほとんどの国で,全出生児を対象にワクチン接種が実施されています.是非接種を受けましょう.
組換えDNA技術を応用して産生されたB型肝炎ワクチンです.

3.接種方法

生後2カ月から接種を開始します.3回接種で,1回目から27日以上,139日以上の間隔をおいて,2回目,3回目の接種を受けます.

4.予防接種を受けることができない人

(1)明らかに発熱のある人(37.5℃を超える人)
(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人
(3)過去にB型肝炎ワクチンの接種を受けて,アナフィラキシーを起こしたことがある人.なお,他の医薬品投与を受けてアナフィラキシーを起こした人は,医師に接種を受ける前に医師にその旨を伝えて判断を仰いで下さい.
(4)その他,医師が予防接種を受けることが不適当と判断した人

5.予防接種を受けるに際し,医師とよく相談しなくてはならない人

(1)心臓病,腎臓病,肝臓病や血液の病気などの人
(2)発育が遅く,医師,保健師の指導を受けている人
(3)カゼなどのひきはじめと思われる人
(4)予防接種を受けたときに,2日以内に発熱,発しん,蕁麻疹などのアレルギーを疑う異常がみられた人
(5)薬の投与又は食事で皮膚に発しんが出る,または体に異常をきたしたことのある人
(6)今までにけいれんを起こしたことがある人
(7)過去に本人や近親者で,検査によって免疫状態の異常を指摘されたことのある人
(8)妊娠の可能性のある人

6.副反応

副反応は,注射部位の発赤,腫脹(はれ),硬結(しこり),疼痛,熱感,そう痒感などがあります,その他,発熱,発疹,嘔気,下痢,食欲不振,頭痛,倦怠感,違和感,関節痛,筋肉痛などがあらわれることがあります,また,まれに多発性硬化症,急性散在性脳脊髄炎の発生も報告されています,このような健康被害が生じた場合の救済については,健康被害を受けた人又は家族が独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて手続きを行うことになります.

7.予防接種を受けた後の注意

(1)ワクチンを受けたあと30分間は,急な副反応が起こることがあります,医療機関にいるなどして様子を観察し,医師とすぐに連絡をとれるようにしておきましょう.
(2)接種当日の入浴は差し支えありませんが,注射した部位をこするようなことはやめましょう.
(3)接種当日はいつも通りの生活をしましょう,激しい運動や大量の飲酒は避けましょう.
(4)万一,高熱やけいれんなどの異常な症状が出た場合は,速やかに医師の診察を受けてください.