先進諸国では国債が発行され続けています.日本では公的債務はどんどん増加し,子どもからお年寄りまで1人500万円にも及ぶ額を返済しないといけない事態になってしまっています.老人と子どもは同じ社会的弱者ですが,前者には老人保健法がありますが,後者には小児保健法などという法律はありません.

なぜこのような事態が生じているのでしょうか?その理由は子どもには選挙権がないからだと思います.政権与党が老人に手厚くすれば,選挙の際には確実に得票に結びつきます.しかし,子どもには選挙権がないので子どもに手厚くしても選挙で有利になることはありません.子どもの立場だけを考慮して投票行動に出る人はいません.

もしそのような人がいたとしても,その人自身の立場にたった投票行動が出来なくなりますので,選挙権が減殺されてしまいます.赤字国債を無責任に発行して,将来世代の負担への押し付けが平然と行われるのも,老人保健法はあるのに小児に同様の法律がないのも,子どもには選挙権がないために自らの権利を主張できないのです.

選挙権をもつ世代が自分の身の丈以上の生活をするために,選挙権のない子ども,さらにまだ生まれてこない子どもたちに,彼等に何も知らせることなく負担を強いています.

「子どもに選挙権を与えよ」というと,乱暴な意見だ,常識から逸脱しているという批判が生じると思います.現在,日本では,20歳以上の全ての男女に1票ずつ選挙権を与えてます.しかし,欧米諸国でも日本でも,選挙権を納税額の多い人間にだけ,男性にだけ限定していた時代が長く続いていたのです.現在のように,ある年齢以上の人に等しく選挙権を与えることは,当時は「非常識なこと」だったのでしょう.そう考えると,「子どもに選挙権を与えよ」という主張があながち間違ったことでないことが理解できると思います.

子どもに選挙権を与えても自分の意志を投票行動に結び付けられないから無駄だ,という批判もあるかと思います.しかし,中学生,高校生になれば新聞,テレビなどで自己判断して投票することは十分に可能です.また,小学生や乳幼児の場合には,投票権を親に預託して,親が子どもの意志を汲み,子どもの将来生きていく社会を考えて投票するというような制度を考えてもいいと思います.子どもの知らないうちに公的債務が増加し,子どもにつけをまわすだけ負担を強いるだけで,選挙権を与えないことの方がよほどおかしなことだと考えます.

子どもにも選挙権を与えましょう.社会がよい方向へ大きく変わるはずです.
(2001年2月23日記)