現在,日本には老人保健法のような医療費助成制度は子どもにはありません.老人も子どもも社会的弱者です.

一方には手厚い制度がありますが,他方にはありません.この社会的不公平の是正,子育て世代の負担軽減を図るために,各自治体では独自に「乳幼児医療費助成制度」を実施しています.

ここでは,話が分かりやすいように,外来診療における助成について述べます.「乳幼児医療費助成制度」がなければ,患者さんは総医療費の3割を医療機関の窓口で支払わないといけません.2001年4月1日現在,新潟県では1歳未満だけを助成の対象にしており,1回530円,1月4回まで(最高負担額530円x4回=2120円)を窓口で支払います.本来の3割負担分からこの自己負担を除いた額が「乳幼児医療費助成」として補助されます.県の事業ですから,県が50%,市町村が50%の負担をします.この助成は全国最低レベルでした.そこで関係各方面の働きかけにり,2001年9月1日より助成の対象が3歳未満に拡充される予定です.
これでも全国最低レベルです.しかも,所得制限があります.当然,新潟県内では,この助成レベルでは不十分だという市町村が多数出現して来ました.例えば,9月1日より見附市は県の助成に1歳上乗せをして4歳未満を対象とし,所得制限を設けません.新津市は,所得制限はありますが,就学前まで助成対象を拡げました.このように市町村が独自の上乗せをした場合には,上乗せ分は市町村の100%の負担になります.

このように,国が乳幼児医療費助成をしないから都道府県が制度を設ける,都道府県の助成制度が不十分だから市町村が独自の上乗せをしています.東京都の石原都知事が言うように「国がなにもしないから地方がする!!」という現象が起きています.この事情は,全国どこでも同じです.

さて,地方が国の制度よりも助成を行なった場合に,その陰で財政的にどのようなことが行なわれているでしょうか?

国から地方へは,地方交付税交付金という名目で多額の補助金が流れています.しかし,地方が国の制度よりも手厚い補助事業を行なった場合には,国から地方への補助金が減額されます.乳幼児医療費助成も例外ではありません.乳幼児医療費助成を手厚くすればするほど,国から都道府県への,都道府県から市町村への補助金が減額されます.