欧米諸国では,(1)インフルエンザ対策の目的はハイリスク者における重篤な合併症や死亡を予防する,(2)インフルエンザワクチンの有効性は確立してしており,ハイリスク者における合併症や死亡を予防するための最も有効な手段である,(3)予防接種が最も必要とされる対象はハイリスク者,およびハイリスク者への感染源となり得る者である,との認識が定着しています.一方,日本ではこういう認識は皆無であり,この相違が下表に示すようなワクチンの普及状況をもたらしています.

人口1000人当たりのワクチン配布用量では,日本はアメリカ合衆国の1/30,韓国の1/10以下です.先進22カ国中,16カ国が高齢者を,21カ国が基礎疾患を有する者を,17カ国が老人施設入所者を,10カ国が保健医療従事者を接種対象にしていますが,日本はいずれも対象にしていません.

ここ2-3年,日本でもインフルエンザワクチンの必要性が認識されて来ており,ワクチン配布用量は急速に増大しています.2001年9月の国会で予防接種法が改正さ
れ,65歳以上の老人が接種対象になり,一部公費負担による接種が開始される予定です.2001年には人口1000人当たり150程度まで増加する見込みです.

しかし,たいへん残念なことに,今回の改正では乳幼児は対象外です.乳幼児はインフルエンザ脳炎,脳症に罹患しやすく,ハイリスク者であることから,来年度以
後には早急にインフルエンザワクチンの接種対象になることを望みます.