臍ヘルニア(=出べそ)は,新生児の4-10%に認められます.1年で80%,2年で90%が自然治癒します.臍ヘルニアは無処置でも治りますが,皮膚が余ってしまうことがあります.見た目の問題だけですが,児にはストレスになり,手術が必要になる場合があります.

日本では,臍ヘルニアの圧迫療法は以前からありました.しかし,効果がないと考えられ,一度は廃れてしまいました.2000年頃から,皮膚の余りを予防する効果があると再評価されるようになりました.一方,欧米では,圧迫療法は全く行われていません.

近年実施された小児外科医へのアンケート調査では,64.1%の施設が圧迫療法を実施しており,カバー材などによる皮膚のただれなどのトラブルが約半数に起こっていると回答しました.一般小児科では,48.0%の施設で圧迫療法が行われています.残りの52.0%では行われておらず,その理由として60%が自然に治癒するから,40%は手技が面倒で皮膚炎やかぶれが多いから,と回答しました.

2006年の日本における報告では,臍ヘルニアが無処置の場合には,治癒率は78.1%で,治癒年齢は9.0カ月でした.圧迫療法を行った場合には,治癒率は87.5%で,治癒年齢は5.1カ月,治療期間は2.1カ月でした.

圧迫開始時期は,生後1カ月が26.5%,2カ月が62.4%,3カ月が7.9%と報告されています.開始時期としては,生後2カ月前後が適当です

臍を圧迫するカバー材としては,テガダーム,カテリープFSロール,エラストポア,メッシュポア,ワーデル絆創膏,キズパワーパッド,工業用ビニールテープなどが用いられています.メッシュポアは皮膚にやさしく,ワーデル絆創膏は強力に固定できます.最もかぶれにくいのは工業用ビニールテープですが,人体への使用については治験がなされていません.臍ヘルニアが大きい場合には,カバー材と臍の間に綿球やガーゼを硬く丸めて球状・円柱状・円盤状・雪だるま状にして,あるいは適当な大きさのエラストン,EVA樹脂,へそプラグを挟む場合があります.

皮膚を左右または上下に寄せてからカバー材を貼る方が強力に圧迫できますが,皮膚のトラブルが起きやすくなります.皮膚を寄せずに圧迫のみの場合には,皮膚のトラブルは少なくなりますが,圧迫効果がやや弱くなります.

カバー材の貼り替えの間隔は施設によって異なり2-3日間,7日間,14日間などですが,7日間が最も多いようです.

圧迫の方法や材料は施設によって異なりますが,どの方法でも90%前後の有効率が報告されています.

カバー材による皮膚のかぶれは,20-60%に起こります.2-3日で治癒するので,再開が可能になります.アトピー性皮膚炎や皮疹があると,かぶれやすくなります.貼り替えの時に,カバー材をゆっくりと180度折り曲げて剥がし,必要に応じて水やウェルパスを使用すると,皮膚の傷みが少なくなります.

圧迫療法が無効なのは,開始時期が生後6カ月以後,皮膚のかぶれによる頻回の中断,ヘルニア門が6-10cm以上,ヘルニア外径が30mm以上,ヘルニア門がやや上部にある場合などです.

当院では,臍ヘルニアに対して圧迫療法を行っています.ご心配な方は,是非ご相談ください.