弱視とは,視力の発達が障害された状態です.赤ちゃんは,生まれた直後には大人と同じようにはっきりと物が見えているわけではありません.視機能は,視覚刺激を繰り返し受けることで発達して行きます.正常な視覚刺激を受けることができないと,弱視を発症してしまいます.弱視の頻度は2%,弱視による失明率は40歳以下における片眼失明の原因の第1位です.

弱視を起こす主な要因は,以下の3つです.
(1)遠視,近視,乱視などの屈折異常があると弱視を発症してしまいます.屈折異常の左右差が大きい場合には,片眼だけが弱視になってしまう場合が多く,これを不同視弱視と呼びます.
(2)斜視があると視線が揃いません.固視していない眼が弱視になります.とくに内斜視がある場合に弱視が発症しやすくなります.
(3)白内障や角膜混濁など網膜より手前に視覚を遮断する要因がある場合に,弱視が発症します.例えば,眼帯を数日間装着しただけでも,弱視を発症することがあります.
上記のうち,(1)と(2)が弱視の原因の大半を占めます.

弱視は見た目には分かりにくいために,本人も周囲も気付くことができず,発見が遅れがちになります.弱視は,早期に発見できれば眼鏡装用と弱視訓練により治療が可能ですが,発見が遅れた場合には生涯にわたり視力障害を負うことになります.

視力は10歳まで成長発達しますが,感受性が高いのは3歳頃までです.弱視の治療を3-5歳に開始した場合には,5-7歳で治療を開始した場合に比べ,治療への反応が良好であるという臨床研究の結果があります.

視力検査が可能になるのは3-4歳頃です.3歳児健診で視力検査をしても,その精度や成功率は高くはありません.こうした現状があるため,日本弱視斜視学会,日本小児眼科学会は,「3歳児眼科健診には,視力検査に加えてフォトスクリーナーなどを用いた屈折検査や斜視の検査を併用することが望ましい.」と提言しています.フォトスクリーナーは,乳幼児の視覚スクリーニングのために開発されたもので屈折異常や斜視の検査を他覚的に行う検査機器です.

当院では,既に,2017年6月よりウェルチ・アレンの「スポットビジョンスクリーナー」を導入し,乳幼児健診で視覚スクリーング検査を実施しています.

スポットビジョンスクリーナーは,生後6カ月以上の乳児から大人までの視機能上の問題を検知する医療機器です.僅か1秒の測定時間で,両眼を同時に検査できます.点眼などの前処置は不要です.測定原理は,フォトレフラクション法です.カメラ光軸上および光軸外の合計23個の赤外線光源より発した光の,瞳孔からの反射を計測します.

スポットビジョンスクリーナーは97%の成功率で,近視,遠視,乱視,斜視,不同視,瞳孔不同をスクリーニングできます.

スポットビジョンスクリーナーで異常が発見された場合には,眼科への紹介受診が必要になります.ご心配な方は,当院にご相談ください.