日本気象協会は,2019年12月5日に「2020年春の花粉飛散予測(第2報)」を発表しました.スギ花粉の飛び始めは,全国的に例年並みです.飛散量は,広い範囲で例年より少なくなる見込みです.

<2019年夏の気象>
スギ花粉の飛散数には,前年夏(6-8月)の気象条件が大きく影響します.気温が高く,日照時間が多く,雨の少ない夏は花芽が多く形成され,翌春の花粉の飛散数が多くなります.花芽は夏の早い段階で育つため,とくに6-7月の気象条件が重要です.

2019年7月は梅雨前線が本州の南岸に停滞し,各地で梅雨明けが平年よりも遅くなりました.また,8月前半は晴れて厳しい暑さになりましたが,後半は前線や台風の襲来が相次ぎ前線も活発化した影響で曇りや雨の日が多くなりました.その結果,夏の日照時間は西日本,東日本を中心に平年を下回り,雄花の生長には不向きでした.前線の影響を受けにくかった北日本では,東北日本海側を中心によく晴れて暑くなり,雄花の生長に適した天候条件になりました.

花粉の飛散量は,多い時期と少ない時期が交互に訪れる傾向があります.飛散量が多い年を「表年」,少ない年を「裏年」と呼びます.ただし,夏の天候によっては,「表年」「裏年」が不明確になる場合もあります.2019年夏は2018年夏の猛暑の影響で,特に西日本ではスギ花粉が多く飛散しました.この反動により,地域によっては2020年の飛散量が少なくなる傾向があります.

<花粉飛散開始時期>
2020年春のスギ花粉の飛散開始は,九州から東北まで例年並みとなりそうです.2月上旬に九州や四国,東海,関東地方の一部から花粉シーズンが始まる見込みです.

2020年の1月は,全国的に気温が平年並みか高くなる予想ですが,2月は西日本,東日本,北日本ともにほぼ平年並みの気温となるでしょう.冬らしい寒さにより休眠打破が順調に行われて,スギ花粉の飛散開始は各地で例年並みとなる見通しです.

スギ花粉は飛散開始と認められる日の前から僅かな量が飛び始めます.2月上旬に飛散開始が予測される地域では,1月のうちから花粉対策を始めるとよいでしょう.

<例年(2010-2019年の平均値)との比較>
2020年春の花粉飛散量は,例年に比べ,北海道ではやや多く(130%),東北,北陸ではでは例年並み(90%),関東甲信,東海ではやや少なく(70%),近畿,中国,四国では少なく(50%),九州では非常に少なくなる見込みです(30%).

<前シーズンとの比較>
2020年春の花粉飛散量は,前シーズンに比べ,北海道では非常に多く(300%),東北では例年並み(90%),関東甲信,北陸では少なく(50%),東海(40%),近畿(30%),中国(30%),四国(30%),九州(20%)では非常に少なくなる見込みです.

<新潟県における予測>
新潟市における花粉飛散開始は3月1日頃と予測されています.新潟県を含む北陸地方の花粉飛散量は,例年並みで,前シーズンより少なくなる見込みです.

「鼻アレルギー診療ガイドライン」では,強い花粉症症状を示す場合には”初期療法“が推奨されています.第2世代抗ヒスタミン薬,抗ロイコトリエン薬,鼻噴霧用ステロイド薬は花粉飛散予測日または少しでも症状が現れた時点で開始し,その他の薬剤では飛散予測日の1週間前をめどに治療を開始します.新潟県における飛散開始は2月下旬から3月初旬なので,2月11日の建国記念日を目安に手元に薬剤を用意しておくか治療を始めた方がよいでしょう.

私自身,重症のスギ花粉症患者です.第2世代抗ヒスタミン薬,抗ロイコトリエン薬,鼻噴霧用ステロイド薬,点眼用抗ヒスタミン薬がないと,スギ花粉が飛散する2-4月は満足に日常生活を送ることができません.スギ花粉症の患者さんの気持ちがよく分かります.スギ花粉症の方は小児だけでなく成人の方も是非当院にご相談ください.