2020年5月初旬より,当院周辺では,アデノウイルスによる急性胃腸炎が流行しています.

小児の感染性胃腸炎の原因はウイルス性のものが多く,ロタウイルス,ノロウイルス,アデノウイルスなどが病原体として知られています.病原体微生物情報によると,検出頻度はそれぞれ60-70%,20-25%,8-9%です.ロタウイルスは2-3月,ノロウイルスは12月頃に流行のピークがありますが,アデノウイルスにはこのような季節性はありません.

アデノウイルスには49種類の血清型が知られており,A-F群の6つに分類されています.腸管アデノウイルスはF群に分類されており,40,41の2つの型が知られています.

アデノウイルスの胃腸炎は3歳未満の乳幼児に多く,とくに0歳児からよく検出されます.好発季節がない,通年性に発症する,発熱が少ない,比較的軽症で経過する点が,ロタウイルスやノロウイルスによる胃腸炎と異なります.

感染経路は糞口感染で,潜伏期間は7日間,ウイルスの排泄は10-14日間続きます.

発熱の頻度は30%程度で,嘔吐は約半数に認められますが回数は少なく,2日間程度で消失します.下痢はほぼ全例にみられます.激しい下痢ではありませんが,長引く傾向にあります.平均の下痢日数は7日間ですが,10-14日間持続する場合もあります.下痢は白色便またはクリーム色便を呈することがあります.

アデノウイルス胃腸炎は,便中アデノウイルスを調べる迅速診断キットにより,外来で簡単に診断ができます.ただし,ウイルス量が少ない場合には陽性を示さないことがあります.陽性であれば診断を確定できますが,陰性でもアデノウイルスの感染を100%否定するものではありません.

アデノウイルス感染症を直接治療する薬剤はないので,対症療法により自然治癒を待ちます.吐き気・下痢止めを処方します.脱水にならないように十分な補液が必要です.

下痢が続く,嘔吐がある,便の色が白い場合には,アデノウイルス胃腸炎が疑われます.早めに受診してください.当院で検査,治療します.