B型肝炎ワクチンは2016年10月1日より定期接種化され,通常乳児期に3回の接種を受けます.同年4月1日以降に出生した児は公費負担で接種を受けており,接種率はほぼ100%です.このほか,母子感染予防の対象児,医療従事者,高頻度国への渡航者などが接種を受けています.国内の需要は,1年間に350-450万回接種分程度と考えられています.

日本で使用可能なB型肝炎ワクチンには,KMバイオロジクス(株)の「ビームゲン」とMSDの「ヘプタバックス」があります.2社から年間350-640万回接種分程度が市場に供給され,2016-2018年度の実績ではそれぞれ年間60-180万回接種分,240-520万円接種分を製造していました.

2019年4月,MSDは原液製造の工程で所定の規格を満たさない事象が断続的に発生したために,日本及び世界各国に向けて供給している全ての「ヘプタバックス」の製造を自主的に中止していること,数カ月後には供給ができなくなること,製造及び供給の再開は早くても2020年半ばになることを,厚生労働省健康局健康課に報告しました.「ヘプタバックス」の在庫切れにより,同年11月以降日本国内では「ビームゲン注0.5mL」のみが供給されていました.KMバイオロジクス(株)は厚労省からの要請を受け,増産体制を継続していました.

2020年4月,KMバイオロジクス(株)は,増産体制は続けるものの,2020年1-3月,4-6月にはそれぞれ75万本だった「ビームゲン注0.5mL」の出荷本数が,7-9月,10-12月にはそれぞれ50万本に減ることを発表しました.製造ラインのメインテナンスなどが理由のようです.

一方,厚労省は,MSDの「ヘプタバックス,シリンジ0.25mL」の供給が7月末にも再開される見込みであるという事務連絡を行いました.7-9月には45万本が供給される見込みです.

2020年7月以降は,「ビームゲン注0.5mL」と「ヘプタバックス,シリンジ0.25mL」が使用可能になり,計算上供給量は十分なようです.しかし,流通の過程で遅滞,偏在などが起こることがあります.

B型肝炎ワクチンは3回接種をします.「ビームゲン」と「ヘプタバックス」には共通抗原性があるので,例えば1回目が「ビームゲン」,2,3回目が「ヘプタバックス」でも効果に問題はありません.供給が安定しない間は,このような接種方式になる場合がありますが,心配はありません.

ワクチンの接種は早めに済ませてください.