アトピー性皮膚炎で眼が悪くなるの?

アトピー性皮膚炎では,さまざまな眼の合併症を生じることが知られています.小児期から,(1)眼瞼炎(まぶた,眼周囲の皮膚の炎症)が生じることがありますが,治療が不十分な場合には,成人期以後に (2)白内障,(3)網膜剥離を合併する可能性があります.

(1)眼瞼炎

アトピー性皮膚炎では,眼瞼(まぶた),眼周囲の皮膚の炎症が起こることがあります.手が届きやすいので,どうしても掻いてしまいます.アレルギー性結膜炎を合併している場合には,なおさら掻いてしまって,眼瞼炎が悪化します.からだの皮膚のうち,眼瞼は,あご,陰嚢とともに皮膚が薄く,治療が難しい部位です.

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治療

無意識のうちに掻くことを防ぐために,抗ヒスタミン剤をきちんと服用してください.症状が悪化して,眼瞼の赤味が強い場合には,3-7日を目安にステロイド眼軟膏を塗って下さい.その後にプロトピック軟膏を使用する場合もあります.スキンケアとして,眼科用白色ワセリンなどの保湿剤を塗ってください.症状がよくなっても治療の継続が必要な場合もあります.

(2)白内障

アトピー性皮膚炎では,白内障(レンズの働きをする水晶体がにごってしまう)が起こることがあります.最近の研究では,繰り返し眼を掻くあるいは叩くことが白内障を引き起こす,と言われています.

男女比は1:2で,15-24歳に圧倒的に多く,顔面に重症の皮疹がある症例に発生しやすい傾向があります.白内障は,アトピー性皮膚炎全例の2.0%,重症例の5.5%に合併します.

治療

白内障が進行した場合には手術をして水晶体を取り除きます.その後,眼内レンズを入れるなどの治療が必要になります.

(3)網膜剥離

アトピー性皮膚炎で眼瞼炎が起こるあるいはアレルギー性結膜炎を合併すると,眼をどうしても掻いてしまいます.網膜は薄い膜で,しっかりと固定されていません.繰り返し外力が加わると.網膜に裂孔(裂け目)が生じて,そこから剥離が起ります.網膜剥離はアトピー性皮膚炎全例の0.5%,重症例の2.0%に発症します.16-25歳に圧倒的に多く,眼瞼を強くこする,叩く人に多発します.原因となる網膜裂孔(裂け目)が角膜に最も近い部位に出来ることが多く,虹彩で邪魔をされて,検査がしづらく,眼底写真をとっても分からないことがあります.網膜剥離が起これば,手術が必要になります.

アトピー性皮膚炎で眼を悪くしないためには

小児期の眼瞼炎を上手にコントロールすれば,成人期以後の網膜剥離,白内障を予防することが出来ます.15歳近くになったら,定期的に眼科で検査を受けた方がいいでしょう.