プロトピック軟膏とは?

タクロリムス外用薬(商品名:プロトピック軟膏)は免疫抑制剤のひとつで,ステロイド外用薬とは全く異なった機序で皮膚の炎症を抑制します.

プロトピック軟膏には,成人用0.1%(16歳以上)と小児用0.03%(2-16歳未満)の2つの製剤があります.2歳未満は使用できません.

プロトピック軟膏

塗布量

プロトピック軟膏の1回の塗布量は,成人用0.1%は5g,小児用0.03%は2-5歳(体重20kg未満)では1g,6-12歳(同20kg以上50kg未満)では2-4g,13歳以上(同50kg以上)は5g以下です.使用回数は1日2回までです.

*0.1g(=5gチューブから1cm押し出した量)が,10cm四方の皮膚に塗る量です.

*プロトピック軟膏は口径が小さいため,2FTU=0.5g(成人の両掌の面積に塗る量)です.保湿剤やステロイド外用薬よりも長めに指先に出してください.

特徴

ステロイド外用薬の分子量は450-550で小さいために,病変部位だけでなく健常皮膚でも吸収されてしまいます.一方,プロトピック軟膏の分子量は822と大きいため,バリア機能の破壊された病変部位では吸収されますが,正常の角層は通過しません.したがって,皮膚状態が回復すれば不要になったプロトピック軟膏は自動的に吸収されなくなります.プロトピック軟膏の効力は,成人用0.1 %はストロングクラス(5段階の強い方から3番目)のステロイド外用薬とほぼ同等です.小児用0.03%は成人用よりやや弱いです.プロトピック軟膏には,ステロイド外用薬のような長期間の外用による皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用はありません.プロトピック軟膏はステロイド外用薬よりも痒みを抑える作用が強いです.

眼瞼,眼の周囲に特に有用

ステロイド外用薬の経皮吸収が良過ぎる顔面や頸部とくに眼瞼,眼の周囲には,プロトピック軟膏は極めて有用です.アトピー性皮膚炎では,2.0%に白内障が,0.5%に網膜剥離が起きます.いずれも,痒みのために,眼をこする,叩くなどの行為により外力が長期間繰り返し加わることにより発症します.プロトピック軟膏で眼周囲の皮疹をコントロールすることは,眼合併症の予防に有効です.

使用上の注意点

(1)プロトピック軟膏は塗布部位に一過性の灼熱感,ほてり感(ヒリヒリする)などの刺激症状が出現することがありますが,多くは皮疹の改善とともに消失します.皮疹が重症化している場合には,まずステロイド外用薬を使用して皮疹を改善し,その後プロトピック軟膏に移行します.

(2)粘膜,外陰部,びらん・潰瘍面には使用できません.

(3)単純疱疹,伝染性軟属腫(水イボ),疣贅(イボ),伝染性膿痂疹(とびひ)など,皮膚感染症がある場合には使用できません.

*プロトピック軟膏をマウスに大量に塗布した実験では血中濃度が高くなり,悪性リンパ腫の発生リスクが高くなることが報告されています.ヒトに対する通常の使用量では,このような高濃度にはなりません.米国における大規模臨床研究ではプロトピック軟膏と悪性リンパ腫の発生には因果関係はなく,安全であることが証明されています.