TARCとは?

ヒトの免疫系はリンパ球の1つであるTリンパ球により調節されています.Tリンパ球のうち免疫系を活性化するヘルパーT細胞には,Th1細胞とTh2細胞があります.気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎などのI型アレルギーが関与する疾患では,Th2細胞がTh1細胞に比べ優位になることが知られています.

TARC(thymus and activation-regulated chemokine)は,ケモカインと呼ばれる免疫調節作用を持つ物質の1つです.アトピー性皮膚炎では,病変部の表皮角化細胞がTARCを産生します.TARCは,Th2細胞を病変局所に遊走させ,I型アレルギー反応を亢進させます.その結果,アトピー性皮膚炎の病態形成に関与し,皮膚症状を増悪させます.

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正常値

生後6-12カ月:1367pg/ml未満,1-2歳:998pg/ml未満,2歳以上:743pg/ml未満,成人:450pg/ml未満

*アトピー性皮膚炎患者では以下の値ですが,正常値とのオーバーラップがあります.
小児(2歳以上):軽症760pg/ml未満,中等症以上760pg/ml以上
成人       :軽症700pg/ml未満,中等症以上700pg/ml以上

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TARCの特徴

血清中のTARC値は,アトピー性皮膚炎の重症度を反映します.従来用いられてきた総IgE値,LDH値,好酸球数に比べ,TARC値は皮膚症状の程度を鋭敏に反映します.さらに,TARC値は短期間に変動することから,皮膚症状の現状を知ることができます.掻痒感(かゆみ)や皮膚症状は,患者あるいは医師の主観により判定されます.一方,TARC値は免疫学的観点から客観的な数値として評価することができるという利点があります.