アナフィラキシー

アナフィラキシーとは,食物(鶏卵,牛乳,小麦,そば,ピーナッツなど),薬物(抗生物質,非ステロイド消炎鎮痛剤,抗ガン剤,ワクチン,造影剤など),ハチ毒(スズメバチ,アシナガバチ,ミツバチ)などが原因で起こる即時型アレルギー反応の総称です.

皮膚(発赤,かゆみ,じんましんなど),呼吸器(息苦しさ,口腔のかゆみや違和感,呼吸困難,喘鳴,くしゃみなど),消化器(嘔吐,腹痛,下痢など),循環器(血圧低下,動悸など),神経(意識障害など)など多臓器に症状が現れ,ときにショックを引き起こします.こうした生命をおびやかす危険な状態をアナフィラキシーショックと呼びます.

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エピネフリンの投与

全身性のアナフィラキシーあるいはアナフィラキシーショックが起きた場合には,エピネフリンの注射が必要になります.

ハチ毒アナフィラキシーにおけるエピネフリンの効果を検討したところ,ハチ刺傷からエピネフリン投与までの時間が短いほど救命率が高くなることが明らかになっています.

アナフィラキシーが急速に進行してショックに至るような場合には,医療機関に搬送してから処置をしていたのでは間に合いません

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エピペン

現在,エピネフリン自己注射キット「エピペン」が発売されており.食物,薬物,ハチ毒などによるアナフィラキシーの補助治療剤として適応が認められています.過去にアナフィラキシーショックに陥ったことがある方はあらかじめ医療機関で処方を受け,携帯した方がよいでしょう.

「エピペン」は,あらかじめ注射針,容器,薬液が一体となっており,使用時に安全キャップをはずし,大腿部外側に押し当てるだけでエピネフリンの投与が可能です.薬液は一定量しか注入できないように設計されており,過量投与の心配はありません.衣服の上からでも投与できる構造設計になっています.詳しくは,「エピペンホームページ:http://epipen.jp/index.html」をお読みください.

「エピペン」は講習を受けた医師がいる医療機関で処方を受けることができます.「アナフィラキシー医療機関リスト:http://www.anaphylaxis.jp/list/index.html」に処方可能な医療機関が掲載されており,当院も登録されています.必要な方はご相談ください.

剤形

エピペンには,2種類の剤形があります.体重が15kg以上30kg未満ではエピペン注射液0.15mgを,体重が30kg以上ではエピペン注射液0.3mgを使用します.

アナフィラキシーの症状

アナフィラキシーの自覚・他覚症状は以下の通りです.エピペン使用のタイミングは,過去のアナフィラキシ―発現の有無,初期症状等を参考にします.

自覚症状 他覚症状
全身症状 不安感、無力感 冷汗
循環器症状 心悸亢進(動悸)、胸内苦悶 血圧低下、脈拍微弱、脈拍頻数、チアノーゼ
呼吸器症状 鼻閉、喉頭狭窄感(気道が狭くなる)、胸部絞扼感(しめつけ感) くしゃみ、咳発作、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、呼吸困難、チアノーゼ
消化器症状 悪心(吐き気)、腹痛、腹鳴、便意、尿意、口内異物感 嘔吐、下痢、糞便・尿失禁
粘膜・皮膚症状 皮膚そう痒感(かゆみ) 皮膚蒼白、皮膚の一過性紅潮、じん麻疹、眼瞼浮腫(まぶたの腫れ)、口腔粘膜浮腫、舌の腫脹(舌の腫れ)
神経症状 口唇部しびれ感、四肢末端のしびれ感、耳鳴、めまい、眼の前が暗くなる けいれん、意識障害

 エピペン使用のタイミング

日本小児アレルギー学会アナフィラキシー対応ワーキンググループから,「一般向けエピペンの適応」が以下の通りに示されています.

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消化器の症状 ・繰り返し吐き続ける
・持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
呼吸器の症状 ・のどや胸が締め付けられる
・声がかすれる
・犬が吠えるような咳
・持続する強い咳き込み
・ゼーゼーする呼吸
・息がしにくい
全身の症状 ・唇や爪が青白い
・脈を触れにくい・不規則
・意識がもうろうとしている
・ぐったりしている
・尿や便を漏らす

 エピペン注射後は

エピペンは,アナフィラキシーがあらわれたときに使用し,医師の治療を受けるまでの間,症状の進行を一時的に緩和し,ショックを防ぐための補助治療剤です.あくまでも補助治療剤なので,アナフィラキシーを根本的に治療するものではありません.エピペン注射後は直ちに医師による診療を受ける必要があります.