ハチ死傷事故

日本では,年間20-30人がハチ刺傷によるアナフィラキシー反応のために死亡しています.ハチはスズメバチ,アシナガバチ,ミツバチに大きく3つに分類されます.
成人のハチアレルギー患者数は,スズメバチ:アシナガバチ:ミツバチ=6:3:1です.
山林従事者ではスズメバチ,アシナガバチ,養蜂場やイチゴ栽培従事者ではミツバチによる刺傷事故が多いようです.

アナフィラキシー

ハチ刺傷によるアナフィラキシー反応は,ハチ毒抗原が特異的IgE抗体と反応して起こります.
症状が軽い場合には蕁麻疹や紅斑などの皮膚症状のみですが,アナフィラキシー反応が進むと吐き気などの消化器症状や血管性浮腫が起きます.
さらに進むと気道浮腫による呼吸困難や喘鳴などの呼吸器症状を呈し,最重症の場合にはショックに陥り血圧低下や意識消失に起こし,死に至る場合があります.
これらの症状は多くの場合ハチ刺傷の30分以内に生じ,一般に症状発現までの時間が短いほど重症です.

ハチ刺傷により全身症状を認めた人が再刺傷を経験した場合,前回刺傷時よりも症状が悪化することが多いと報告されています.
また,刺傷部位の腫れが広範囲に数日間続く場合には,再刺傷時に強い全身症状を起こす確率が高くなります.

成人に比べ小児では,全身の蕁麻疹や血管性浮腫などの皮膚症状だけの場合が多く,ショックに至る例は少ないと報告されています.
また,小児ではハチ再刺傷を経験した場合の全身症状の発現頻度は10%程度で,成人に比べ再現性は低いようです.

ハチに刺されないようにするには?

ハチ刺傷を回避するために,屋外での活動時には,長そで,長ズボン,手袋などを着用しましょう.ハチは黒い色や甘い臭いに誘われるので,黒い衣服の着用や香水はしない方が無難です.
ハチが近づいて来たら,顔を下向きにして,目を閉じ,じっと動かないようにしましょう.ただし,ハチの数が増えて攻撃が始まった場合には,その場から逃げましょう.殺虫スプレーを使用してもいいでしょう.

ハチに刺されたら?

ハチに刺されて毒針が残った場合には,直ちに爪などで除去してください.皮膚に残った毒針を強く押したり,深く押し込んだりしないでください.ハチ毒吸引器をもっている場合はハチ毒を吸い出してから,患部を冷やします.
手足を刺された場合には心臓に近いところを縛るなどの処置を行います.抗ヒスタミン薬などを医師から処方されている場合には,直ちに服用してください.過去にハチ刺傷によるアナフィラキシーを経験している場合,全身性のアナフィラキシーあるいはアナフィラキシーショックが起きた場合には,直ぐにエピネフリンの注射が必要になります.

アレルギー体質の人やハチに刺された経験がある人は,ハチ刺傷事故に特に注意が必要です.野山での作業をする機会が多い人は,エピネフリン自己注射キット「エピペン」を常に携帯することをお勧めします.

「エピペン」は講習を受けた医師がいる医療機関で処方を受けることができます.「アナフィラキシー医療機関リスト:http://standard.navitime.biz/anaphylaxis/Index.act」に処方可能な医療機関が掲載されており,当院も登録されています.必要な方はご相談ください.