ヒトメタニューモウイルスとは?

ヒトメタニューモウイルスは,気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こすウイルスの1種です.小児の呼吸器感染症の5-10%,成人の呼吸器感染症の2-4%は,ヒトメタニューモウイルスが原因と考えられています.好発年齢は1-4歳で,2歳までに約50%,10歳までに約100%が感染を経験します.1-2歳が発症のピークで,3歳以下が総患者数の約70%を占めます.乳幼児や高齢者では重症化することもあり,注意が必要です.ヒトメタニューモウイルス感染症は1年中発症が確認されていますが,3-6月にはとくに感染者が増加します.春先から梅雨の時期までは,保育園・幼稚園や小学校で流行することがあります.

症状

ヒトメタニューモウイルス感染症の症状は風邪とよく似ていて,咳,熱,鼻水です.多くの場合,咳は1週間程度,熱は4-5日間続きます.65%の症例では熱よりも先に咳が出ます.解熱後も咳が続きます.経過中に,肺炎や気管支炎になることがあります.重症化すると喘息様気管支炎や細気管支炎を起こし,喘鳴(ゼイゼイ,ヒューヒュー)や呼吸困難を生じます.

ヒトメタニューモウイルスに感染すると,1週間程度で症状は治まります.しかし,1回の感染では免疫を獲得できません.このため何度も感染します.年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき,症状が軽くなる傾向があります.

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診断

(1)ヒトメタニューモウイルスには迅速診断キットがあります.迅速診断キットとRT-PCR法やウイルス分離培養法との一致率は約90%です.迅速診断キットが陰性でも,感染を100%は否定できません.迅速診断キットには保険診療上の制約があり,6歳未満で画像診断により肺炎が強く疑われる場合に限り実施できます.
(2)肺炎を起こすことがあり,胸部X線撮影が必要になります.

治療

(1)ヒトメタニューモウイルスに対する特効薬はありません.水分をしっかり取り,ゆっくり休みましょう.症状を軽減するために,咳や鼻水を抑え,熱を下げるための薬を処方します.
(2)ヒトメタニューモウイルスと同時に細菌にも感染してしまうことも少なくありません.熱が3-4日以上続く場合には中耳炎や細菌性肺炎を併発している場合があり,抗菌薬が必要になります.
(3)喘鳴(ゼイゼイ)が起こることがあり,この場合には気管支喘息に準じた治療が必要になります.

感染予防

ヒトメタニューモウイルスは,咳やくしゃみで吐き出されたウイルスが付着する(=飛沫感染),気がつかないうちにウイルスに触れてしまう(=接触感染)ことで感染が拡がります.保育園・幼稚園や小学校などでの集団感染に注意する必要があります.手洗いやうがいの励行が大切です.また,家庭内でも兄弟,親,祖父母に感染してしまうことがあります.感染が拡がらないようにマスクを着用する,タオルや食器を使い分けるなどして感染対策を行いましょう.