夏かぜウイルスによる無菌性髄膜炎とは?

暑くなると「夏かぜ」が流行します.「夏かぜ」を起こすウイルスのうち,主にエンテロウイルスなどにより無菌性髄膜炎が起こることがあります.
エンテロウイルスは腸管系ウイルスのため,胃腸炎を引き起こします.
ウイルスが腸管にとどまらず,髄膜に到達すると無菌性髄膜炎になってしまいます.

エンテロウイルスのうち,エコーウイルス1-7,9,11-23,25,30,31型,コクサッキーウイルスA7,A9-16,B1-6型が,無菌性髄膜炎の原因ウイルスとして知られています.
その年によって流行するウイルスが異なります.ウイルスは多数あるので,無菌性髄膜炎に複数回かかることがあります.

症状

急に熱を出して,頭を痛がり,ゲボゲボと何度も吐きます.嘔吐が激しいため,水分と糖分が枯渇し,アセトン血性嘔吐症(自家中毒)になり,ぐったりします.
半日から1日くらいすると,首の後ろの部分(項=うなじ)が硬くなり(「項部硬直」といいます),首を曲げることができなくなります.

診断

無菌性髄膜炎を起こしているかどうかは,病院小児科で髄液検査(腰に針を刺して髄液を採取し細胞数を数える検査)をしないと正確には診断できません.

治療

無菌性髄膜炎と診断された場合には,通常1-2週間程度の入院が必要になります.

当院での処置

1.発病当初は,発熱,嘔吐,頭痛が主症状です.ぐったりして水分摂取が不可能の場合が多いので,まず水分を点滴します.

2.点滴をして全身状態が改善した場合には,一旦帰宅して,自宅で様子を見ます.

3.翌朝再度診察をして,嘔吐,頭痛の程度,項部硬直の有無をチェックします.

こんな時は髄液検査が必要です!!

(1)嘔吐や頭痛が激しく全身状態が不良,
(2)1-2日水分を点滴しても症状が改善しない,
(3)明らかに項部硬直があり首が曲がらない場合には,髄液検査の必要があるので病院を紹介します.

*嘔吐,頭痛が激しい場合に髄液検査をすれば,髄液中の細胞数はある程度増加するので,検査上は無菌性髄膜炎と診断されます.

髄液検査は「痛い」「局所麻酔(場合によっては全身麻酔)をかけないといけない」「髄液検査後に髄液漏(髄液を採取した穴がふさがらずに髄液が漏れる)が起こることがまれにある」ので全例に行うことは適当でありません.
診察をして必要と判断した場合に病院を紹介します.