気管支喘息の死亡者数

日本における気管支喘息の死亡者数は1980年代から1994年までは年間6000人程度でした.1995年に一時的に増加しましたが,その後は減少が続き,2002年以降は3000人台が続き,2008年には2348人まで減少しています.高齢者の死亡が多く,60歳以上で全体の90%を占めています.

0-19歳の気管支喘息の死亡者数も同様の推移を示しています.1980年から1995年までは年間140-200人でしたが,その後は減少に転じ2004年には39人,2010年には10人になっています.

1998-2009年に死亡した小児気管支喘息患者の内訳は,軽症が20%,中等症が16%,重症が22%,不明が42%でした.重症の喘息患者は軽症・中等症患者に比べ喘息死のリスクが高いですが,軽症・中等症の患者でも喘息死があり得ることを認識する必要があります.

喘息死の死因と合併症

小児の喘息死の直接死因は窒息がほとんどです.まれに,アナフィラキシーショックなどがみられます.

死亡場所を特定することは不可能な場合が多いですが,年長になるに従い医療機関でない場所が増え,学校内のトイレ,運動中,校外授業などの例も散見されます.

喘息死の合併症としては,乳幼児では下気道感染症,年長児では皮下気腫,縦隔気腫,気胸や右心肥大がみられます.

危険因子

小児の喘息死の危険因子としては,(1)男>女,(2)15歳以上および5歳未満,(3)難治性喘息,(4)過去に重篤発作を経験している,(5)β2刺激吸入薬の過度依存(発作時にメプチンなどの吸入をしてしのぐだけで,非発作時の治療を怠っている),(6)不規則な通院治療(服薬や吸入をさぼる),(7)頻回の救急室受診,(8)治療不足,(9)重症な食物・薬物アレルギー歴,(10)乳幼児の下気道感染症や10歳以上の右心肥大などの合併症がある,(11)外科的緊急手術,(12)家庭崩壊や1人暮らし,(13)こだわらない,活動的性格,(14)異常な分離・喪失感などの性格傾向,(15)患児を取り巻く医療環境の不備,などがあげられます.

喘息死を防ぐには?

1995年以降の喘息死の減少は,吸入ステロイドの普及やβ2刺激薬吸入剤の濫用防止によりもたらされたと考えられています.その後,ロイコトリエン受容体拮抗剤やβ2刺激薬貼付剤などの新しいタイプの薬剤が開発され,喘息の治療は10数年前に比べ格段に進歩しました.どんなに良い薬があっても,きちんと内服や吸入をしなければ意味がありません.喘息死が少なからずあることを認識して,環境整備,お薬の内服や吸入を励行しましょう.

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