小児気管支喘息

日本におけるATS-DLD(American Thoracic Society-Division of Lung Disease)を用いた調査では,気管支喘息の累積有症率(現症+既往)は乳幼児で5.1%,小児で6.4%です.

小児の気管支喘息の初発は1歳が最多で,次いで2歳が多く,60%は2歳までに,80%は3歳までに,90%は6歳までに発症します,

小児の気管支喘息の頻度は男児が女児の1.5倍で,小児期を通じて男児に多い傾向を示します.成長とともに男女比は1.0に近づき,思春期になると男女ほぼ同数になります.

小児では95%がアトピー型喘息で,ダニやハウスダストなどの外来抗原に対するIgE抗体が証明されます.しかし,5%は非アトピー型喘息で,抗原特異IgEが証明されません.抗原特異IgEが陰性だから喘息ではないということではありません.

小児気管支喘息の70%は思春期までに自然軽快または治癒します.残りの30%は成人期まで持ち越します.自然軽快または治癒に至る時期は,小学校入学時と思春期です.小学校入学時に治らないものは,思春期まで喘息を持ち越します.思春期までに治らないものは,成人喘息に移行します.治癒に至らない30%の内訳をみると,20%は成人期以降に軽症化しますが,10%は難治化してしまいます.男児よりも女児の気管支喘息が治癒しづらい傾向があります.

0-19歳の気管支喘息の死亡者数も同様の推移を示しています.1980年から1995年までは年間140-200人でしたが,その後は減少に転じ2004年には39人,2010年には10人になっています.1998-2009年に死亡した小児気管支喘息患者の内訳は,軽症が20%,中等症が16%,重症が22%,不明が42%でした.重症の喘息患者は軽症・中等症患者に比べ喘息死のリスクが高いですが,軽症・中等症の患者でも喘息死があり得ることを認識する必要があります.

成人気管支喘息

日本におけるATS-DLDを用いた調査では,気管支喘息の累積有症率は成人で3.0%です.

成人の気管支喘息のうち成人発症喘息は70-80%で,残りの20-30%は小児気管支喘息から移行したものです.成人発症喘息は,20歳代から60歳代までまんべんなく発症しますが,中高年発症が60%を占めます.

成人の気管支喘息の性比は男女ほぼ同数かやや女性に多い傾向を示しますが,成人発症喘息に限れば明らかに女性が多いです.

成人喘息は非アトピー型,重症例が多いです.成人喘息の10%はアスピリン喘息を合併します.

成人喘息が治癒に至る確率は5%以下で,成人期以後の喘息はほとんど一生続きます.

日本における気管支喘息の死亡者数は1980年代から1994年までは年間6000人程度でした.1995年に一時的に増加しましたが,その後は減少が続き,2002年以降は3000人台が続き,2008年には2348人まで減少しています.高齢者の死亡が多く,60歳以上で全体の90%を占めています.