運動誘発喘息とは?

マラソン,自転車をこいで坂を登る,階段を急ぎ足で昇るなどの激しい運動により,気管支喘息の発作が起こることがあります.これを「運動誘発喘息」と呼びます.気管支喘息の治療を受けている人が運動により咳込みや喘鳴を起こすこともあれば,日頃治療を受けていない人でも運動により症状がでる場合があります.

運動誘発喘息の出現は,気道過敏性亢進の存在を示唆します.運動誘発喘息がある場合には,ロイコトリエン受容体拮抗薬やステロイド吸入薬による抗炎症治療が必要です.喘息治療を継続しなければいけません.

運動の種類は?

運動誘発喘息は,強度の高い運動を持続する場合や冷たく乾燥した環境で起こりやすく,高温多湿では起こりにくくなります.運動誘発喘息を起こしやすいのがマラソン,起こしにくいのが水泳です.

なぜ起こるのか?

運動時の換気増大による気道の冷却と,水分喪失に伴う気道上皮の浸透圧上昇がきっかけになって,アレルギー反応が起こり気道が収縮し咳込みや喘鳴が始まりますが,詳細は未だ不明です.

運動誘発喘息の予防法

(1)十分なウォーミングアップ:
運動誘発喘息が最も起こりやすいのは運動直後ではなく,運動開始後5-10分後です.運動誘発喘息が一度起こるとその後はしばらく起こりにくくなり,これを「不応期」と呼びます.不応期は約2時間続き,呼吸機能の低下がないか起こってもその程度が軽くなります.不応期を得るには軽いウォーミングアップでは不十分で,マラソンなどの強い運動の本番前には軽く運動誘発喘息が起こる程度の運動を行う必要があります.

(2) 薬物療法:
適切な気管支喘息の治療を受けていることが最も大切です.ロイコトリエン受容体拮抗薬(同:オノン,シングレア)は運動誘発喘息に有効です.内服薬や吸入療法が十分に実施されていれば,多くの場合運動誘発喘息を予防することができます.

喘息の治療を受けていても運動誘発喘息が出現する場合には,DSCG(商品名:インタール吸入液,ステリネブクロモリン吸入液)やβ2刺激薬(同:メプチンなど)の吸入を運動開始の15分前に.β2刺激薬(同:スピロペント,ホクナリン,ベラチンなど)の内服を運動開始の60分前に行うと予防できます.

(3)マスク着用:
空気の入口部の温度や湿気を維持し,運動誘発喘息の主因である気道の冷却や水分喪失を防ぐことができます.寒い季節のマラソン,自転車通学,長い距離の歩行による運動誘発喘息の予防に効果があります.

予防は可能!

学校生活で運動誘発喘息がとくに問題になるのは,「秋」です.秋は,マラソンをはじめ各種運動の練習や大会がある季節ですが,気管支喘息の発作が1年でもっとも起こりやすい季節でもあります.適切な治療により,運動誘発喘息の予防は可能です.個々の対応は診察時にご相談ください.