夜尿症の治療

夜尿症の治療には.生活習慣の改善,薬物療法,アラーム療法があります.

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生活習慣の改善

夜尿症では,最初に生活習慣の改善を行います.

(1)水分の摂取方法:水分は午前中から昼過ぎまで十分に摂取し,夕方以降は控えるようにします.1日水分量の40%を午前中(7-12時),さらに40%を午後(12-17時)に摂り,夜(17時以降)は20%に留めます.夕食は就寝2時間前に済ませ,夕食後は水分制限(コップ1杯程度まで)を行います.夕方以降の水分,塩分,たんぱく質の大量摂取,糖質を多く含む飲料やカフェインを含む飲料の摂取は,夜間睡眠中の尿量を増やすので控えます.ただし,夜間にクラブ活動や塾がある場合には柔軟に対応します.

(2)排尿訓練:a.膀胱訓練(できるだけ排尿を我慢し,徐々に排尿までの間隔を延長する),b.定時排尿法(決まった時間に排尿する,就寝前,起床時には必ず,学校では最低2回,その後は下校時,夕食時),c.習慣排尿法(排尿パターンに合わせて漏らす前に排尿させる),d.促し法(介助者が患者への排尿開始を促す),などの方法があります.洋式トイレで排尿する場合には,骨盤底筋をリラックスされるために,両足底をしっかり床につけ(年少児では踏み台を使用する),臀部をピッタリと便座つけてきちんと座る体位が大切です.

(3)便秘がある場合には,毎日朝食後に苦労なく軟らかな便が出るように,食事内容を見直し,適度な運動を行い,緩下剤を適宜使用します.

(4)夜ふかしをしない,睡眠中に身体が冷えないようにします.

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*「起こさず,あせらず,おこらず!!!」が夜尿症治療の3大原則です.

夜間睡眠中に中途覚醒を強制しない方がよいでしょう.夜尿症児を夜間起こしてトイレに行かせる必要はありません.夜尿がなかった場合には,朝,「今日はしなかったね,えらい,その調子!」と言って誉めてあげましょう.

ミニリンメルト

抗利尿ホルモンは,下垂体後葉から分泌されるホルモンで,尿を濃縮し,尿量を少なくする働きがあります.ミニリンメルトOD錠は合成抗利尿ホルモン薬で,薬物療法の第1選択薬です.ミニリンメルトOD錠120μgで治療を開始し,効果が不十分な場合には240μgに増量します.増量しても作用時間は長くなりますが,最高血中濃度は少ししか上昇しないので,大きな副作用はありません.

ミニリンメルト服用の注意点

(1)就寝の30-60分前に服用する.就寝直前や食後の服用は効果が落ちるので,注意が必要.

(2)舌下に置いて口腔内でよく溶かす.その後,水無しで飲み込む.直ぐに飲み込んではいけない.

(3)服用1時間前から8時間後までの飲水量はコップ1杯程度(240mL以下)を厳守する.水中毒に注意が必要!!

アラーム療法

夜尿アラームは,パンツのなかの水分を感知して警報が鳴る装置です.アラーム療法により夜間の膀胱容量が増え,夜尿の頻度や1回尿量が減少して行き,夜尿が朝方にシフトし,やがて治癒に至ります.使用期間は3カ月以上です.辛抱強く,使用しましょう.

(株)アワジテックの「ピスコール」が,無線タイプで使いやすいです.インターネットで購入できます.

抗コリン薬

ミニリンメルトやアラーム療法で効果が不十分な場合には,抗コリン薬を追加します.膀胱括約筋を刺激する作用と膀胱の過度な収縮を抑える作用があります.抗コリン薬単独より,ミニリンメルトに抗コリン薬を併用した方が効果は高いです.

抗コリン薬が有効なのは,ミニリンメルトで夜尿回数が減少している症例や昼間の頻尿がみられる症例です.一方,抗コリン薬が無効なのは,ミニリンメルトで夜尿回数が全く減少していない症例です.

抗コリン薬としては,バップフォー(体重30kg以下10mg,30kg以上20mg,就寝前),ベシケア(体重30kg以下2.5mg,30kg以上5mg,就寝前),ネオキシテープ(1回0.5枚,就寝前貼付)が用いられます.

(注)副作用として口渇感,ドライアイ,便秘があります.

三環系抗うつ薬

ミニリンメルト,アラーム療法,抗コリン薬で効果が不十分な場合には,三環系抗うつ薬を使用する場合があります.尿意による覚醒を促進する作用,膀胱括約筋を刺激する作用,尿量減少作用などがあります.

三環系抗うつ薬としては,アナフラニール,トフラニール(10mgを就寝前より開始,体重25kg以下では20mg,25kg以上では30mgまで増量可)が用いられます.

(注)副作用として食欲減退,嘔吐,不眠,倦怠感があります.

治療の終了

一般的には,夜尿がない状態が3カ月間以上続いた場合に,治療を緩めて行きます.例えば,ミニリンメルトOD錠240μgで3カ月間夜尿がない場合には,120μgを3カ月間続けます.その次に,120μgを1日おきにして3カ月間夜尿がない場合に治療を終了します.失敗したら前の段階に戻ります.一旦治療を終了しても,10-15%は再発してしまいます.

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