新潟県小児科医会,2001年7月7日発表:http://www.npa-niigata.jp/

【その1】いわゆるいぼについて

小児における、いぼの種類はそう多くはなく、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい=いぼと呼ばれるもの)か、伝染性軟属腫(水いぼ)かのどちらかです。どちらもウイルス感染症で、ウイルスが皮膚の細胞の中で増殖して発症します。ウイルスは人から人へ伝染します。尋常性疣贅は、いつどこで誰からうつったかわからない場合が多いのですが、水いぼは、兄弟間でうつったり園や学校でごく小さな流行がみられたこともあって、伝染性軟属腫というやっかいな名前がつけられました。小児においては、これら2つのうち、水いぼのほうが多くみられます。

【その2】水いぼの伝染性について

水いぼは、主に肌と肌の接触によりうつりますが、その他タオルなどの物を介して感染するとされます。その伝染力はけして強くはないと考えられます。具体的に、インフルエンザと比較してみましょう。インフルエンザウイルスは、飛まつ感染で1人がくしゃみをすると近くにいた人の何十人が感染し、集団流行してしまいます。一方、水いぼは、体の接触で伝染するので1人から1人への感染で済んでくれます。大流行することは考えにくいのです。また物を介しての伝染に関していえば、水いぼウイルスの付着していると思われるタオルなどを共用しなければ、感染は防げます。

【その3】水いぼの特徴と経過について

水いぼは、最初は粟粒大の半球ないしドーム状の丘疹ですが、時間の経過とともに大きくなります。しかし、せいぜい1ないし5mm程度で成長が止まります。大きいものの中心にはくぼみが見られ、押しつぶすと粥状のものがでてきます。引っ掻いてしまうため、体のあちこちに広がる場合があります。水いぼは治癒していくもので、1年経過をみると95%近くの人が自然治癒し、発症から平均6?7か月で治癒するという報告があります。一方、尋常性疣贅の場合は、経過は一定せず、個人差があり数か月ないし数年に渡って大きくなることがあり、実は水いぼよりやっかいなのです。

【その4】水いぼの子どもはプールに入ってはいけないのか?

水いぼはウイルス性の感染症ですが、インフルエンザやみずぼうそうなどと同類なものではなく、流行性疾患と位置づけするには無理があります。水いぼのこどもさんがプールに入れてもらえないという話を耳に致しますが、これはいかがなものでしょうか。確かに、昔はスイミングスクールで水いぼが多発し問題になったことがあります。この問題を検討された方がいて、これによるとスイミングスクールの子どもさんの水いぼにはある特徴がありました。それは、水いぼがわきの下に好発していたことです。これは、ビート板がウイルスを媒介していた可能性を示唆するものでした。現在、ビート板の衛生管理が良くなったためか、スイミングスクールでは水いぼの問題があまり聞かれません。幼稚園や保育園では、プール遊びでビート板を使うことはあまりないと思います。プールの水の中に水いぼウイルスが存在するかは、明確なデータは見当たりません。水いぼは主に、肌と肌とのふれあいで感染する可能性があるわけです。プールだけが感染の場ではないわけです。確かにプールでの体の接触の機会は少なくはないと思います。でも考えてみましょう。さっきまでみんなと一緒に園庭で手をつないで遊んでいたのに、プールの時間だけ独り見学に回されたとしたら、何故だか理解できない子どもにとっては、大変辛いものがあると思います。

以上のことを十分検討した結果、わたしたち小児科医は、水いぼの子ども達のプール禁止には賛同しかねるという結論に至りました。親御さんだけでなく、プールの可否を判断される学校・幼稚園・保育園・スイミングスクールの責任者の方々にも、このことをよくご理解いただきたいと思います。