小児の頭痛の疫学

小児における頭痛の有病率は国,報告者により異なり,1.7-24.7%とさまざまです.日常診療でよく遭遇する疾患で,決してめずらしいものではありません.

日本における小児の頭痛の内訳は,片頭痛が57%,緊張型頭痛が16%,両者の合併が4%,その他の原因による頭痛が3%,分類不能の頭痛が20%と報告されています.代表的なものは,「片頭痛」と「緊張型頭痛」です.その他の原因による頭痛のなかには,脳内出血,モヤモヤ病,高血圧,脳腫瘍,水頭症によるものが含まれ,注意が必要です.

片頭痛

小児の片頭痛は,朝に起こりやすく,好発部位は両側の前頭部で,片側とは限りません.頭痛は突然起こり,持続時間は1-72時間ですが,多くは短時間で回復します.「ズキンズキン,ガンガンする」拍動性の痛みで,随伴症状として顔面蒼白,悪心・嘔吐,光過敏・音過敏などがあります.腹痛や食欲不振を伴う場合もあります.片頭痛の70%に家族歴があり,とくに母親に片頭痛があることはよく知られています.日常生活に支障を来たすような中等度あるいは重度の頭痛は少なく,頭痛のたびに鎮痛薬が必要というわけではありません.

緊張型頭痛

緊張型頭痛は,圧迫感や締め付け感がありますが,非拍動性です.頭痛の程度は軽度から中等度です.頭痛の部位は,前頭・側頭部だけでなく,頭全体,頸部(くび),項部(うなじ)の場合もあります.片頭痛に特有な悪心・嘔吐を伴うことはありませんが,食欲不振を伴うことはあります.光過敏・音過敏・軽度の悪心のいずれか1つを伴うことはあり得ます.

薬物治療

小児の頭痛に対する薬物療法は,患者年齢,頭痛の性状,急性期治療か予防的治療かにより異なります.

急性期治療では,アセトアミノフェン(商品名:カロナール),イブプロフェン(ブルフェン)が有効です.11-12歳以上で,これらの薬剤が無効な場合には,スマトリプタン(イミグラン)などを用いる場合があります.

予防的治療では,シプロペプタジン(ペリアクチン),アミノトリプチン(トリプタノール)を用います.9-10歳以上ではプロプラノロール(インデラル), バルプロ酸ナトリウム(デパケン)を,11-12歳以上では塩酸ロメリジン(テラナス)を用いる場合があります.

予後

小児の頭痛は,思春期や成人期までに消失する場合があり,一生続くとは限りません.また,片頭痛が緊張型頭痛にあるいは緊張型頭痛が片頭痛に変化する場合もあります.

頭痛を訴えたら

頭痛に限らず,痛みは本人にしか分かりません.お子さんが頭痛を訴えた場合には,その様子をよく観察してください.前述したような症状がある場合には,当院に是非ご相談ください.