急性小脳失調症とは?

急性小脳失調症は,ウイルスや細菌感染症の回復期あるいはワクチン接種後一定の期間をおいて,小脳症状(失調,振戦,構音障害,眼振など)を呈する疾患です.

病因は?

急性小脳失調症の80%に先行感染があります.ウイルス感染がほとんどですが,細菌感染やワクチン接種に引き続いて発病する場合もあります.ウイルス感染では水痘(みずぼうそう)ウイルスが最多で,全症例の4分の1を占めます.このほか,EBウイルス,ムンプス(おたふくかぜ)ウイルス,コクサッキーウイルスなどの報告があります.ワクチンでは,3種混合,インフルエンザ,B型肝炎ワクチン接種後の発症例が報告されています.

感染症罹患後あるいはワクチン接種後に,ウイルスや菌体成分に対する抗体が産生されます.これらの抗体が小脳細胞や神経と交叉反応を起こし(=本来敵ではない自己細胞を敵と勘違いして攻撃してしまう),細胞障害や脱随が生じ,小脳症状が発現すると考えられています.

症状は?

感染症あるいはワクチン接種から平均10日間経過した頃に,急激に失調性歩行や体幹失調(股を横に大きく開かないと歩けない,歩くとふらつくあるいは倒れる,バランスが保てない),振戦(指先がプルプル振える).構音障害(発音が正しくできない),眼振(眼球がたえずピョコピョコ動く)などが起こります.失調性歩行が主体で,振戦.構音障害,眼振がみられないことが多いです.顔面神経や外転神経(=眼球運動を司る神経)などの麻痺が起こることもあります.

検査所見

一般血液検査や脳波所見は正常です.髄液所見は正常の場合が多いですが,軽度の細胞増多,蛋白増加が認められることがあります.MRIではT2強調画像で小脳に高信号領域が認められる場合があります.

経過,予後

ほとんどの症例で,特別な治療を必要とせずに自然治癒します.ただし,小脳症状が回復するまでに数カ月を要する例や再発例が報告されています.