急性中耳炎とは?

風邪やインフルエンザにかかった時などに,上咽頭(=のどの奥)に生着している細菌が耳管を通じて中耳(鼓膜のむこう側)に侵入,増殖して起こる病気です.

3歳までに70%の小児が少なくとも1回は急性中耳炎に罹患します.
20170125-1

原因菌

肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラキセラ・カタラーリスが3大起炎菌です.

臨床症状

耳が痛い,耳が詰まる,耳だれ,しきりに耳に手をやるなどの耳の症状と,発熱,不機嫌でよく泣くなどの全身症状があります.鼓膜は発赤,膨隆,肥厚し,穿孔する場合があります.

治療

抗菌薬の内服を7-10日間行います.通常は,ペニシリン系で治療を開始し.セフェム系に変更する場合があります.これらで効果がない場合には,カルバペネム系,ニューキノロン系を使用します.耳だれがある場合には,点耳薬を併用することがあります.

注意点

(1)臨床症状は抗菌薬投与により治療開始5日目に約90%の症例で改善しますが,鼓膜所見は約30%の症例で改善が認められるに過ぎません.鼓膜が破れると耳だれが出て熱が下がり痛みはなくなりが,中耳炎が治ったわけではありません.治るまで抗菌薬はきちんと内服しましょう.

(2)発熱や耳痛などの急性期の症状が消失した後も,しばしば中耳貯留液が残ります.中耳貯留液の消失には3-4週間かかるので,辛抱強く治療を続けましょう.

(3)ペニシリン耐性肺炎球菌やβ-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌などの薬剤耐性菌が問題になっています.もともと中耳腔は骨に囲まれた空洞のため経口抗菌薬が十分に局所に移行しないため,薬剤耐性菌による急性中耳炎は容易に遷延化してしまいます.

*鼓膜穿刺をすると熱が下がり耳痛が軽減することがありますが,中耳炎の予後は改善しません.ほとんどの場合,鼓膜穿刺は不要です.急性中耳炎は細菌感染症ですから,治療の主役は抗菌薬です.

乳幼児の急性中耳炎の特徴

2歳以下の乳幼児では耳痛を訴えることができないため,発熱,不機嫌が主症状です.免疫能が十分に発達していないために,急性中耳炎が治りにくく,繰り返すことがあります.

漢方薬

急性中耳炎を繰り返す場合には,十全大補湯の内服が有効です.十全大補湯には免疫賦活作用があり,急性中耳炎の罹患頻度,鼻風邪罹患頻度,抗菌薬使用量が減少します.