滲出性中耳炎とは?

滲出性中耳炎は,「鼓膜に穿孔がなく,中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが,急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎」と定義されます.俗に,「耳に水が溜まっている.」と表現されます.

20170125-2

症状

熱や痛みはありません.耳の中がつまった感じがする,聞こえが悪い,難聴などで気付きます.

病因・病態

滲出性中耳炎は,従来,耳管機能が不良のために中耳が陰圧になり粘膜から漏れ出た浸出液が貯まる,と考えられて来ました.しかし,近年,中耳貯留液からウイルス,急性中耳炎の起因菌,菌体内毒素,免疫複合体が検出されることから,感染が主な病因であると考えられるようになりました.ただし,耳管機能の不良が滲出性中耳炎の悪化因子であることに変わりはありません.

危険因子

ダウン症,口蓋裂などの先天性疾患,アデノイド肥大,上気道炎や鼻副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎,胃食道逆流があると,滲出性中耳炎になりやすくなります.乳幼児期の免疫能の未熟性,おしゃぶりの使用,人工栄養,社会経済的な地位の低さ,集団保育,受動喫煙がある場合は,滲出性中耳炎が難治化します.

急性中耳炎の後にもよく起こる

未治療の急性中耳炎では発症後4週で41%,12週で26%に,抗菌薬による治療を行った場合でも4-6週で45%,3カ月で21%に,中耳貯留液が認められます.このような状態も,広義の滲出性中耳炎に含まれます.

自然に治ることが多い

新規の滲出性中耳炎の25%は3カ月以内に自然治癒しますが,その後6-12カ月経過しても30%しか自然治癒しません.一方,急性中耳炎後に中耳貯留液が遷延した場合,3カ月以内に75-90%は自然治癒します.

治療

(1)経過観察:自然治癒が多いので,発症から3カ月以内は経過観察が推奨されます.

(2)カルボシステイン:鼻腔や耳管咽頭口の粘膜線毛機能を改善します.

(3)柴苓湯:滲出性中耳炎に効果があります.

(4)クラリスロマイシン少量投与:滲出性中耳炎に鼻副鼻腔炎を合併している場合にとくに有効です.

*滲出性中耳炎には,しばしばアレルギー性鼻炎が合併します.第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイドを用いてアレルギー性鼻炎を治療することは,小児滲出性中耳炎の改善に有効です.